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日銀の中原審議委員は、長崎市で「日本経済と金融政策」と題する講演を行った。そのなかで、最近の為替動向に触れ、「最近の円高は、日本経済や景気に影響が出かねない状況だ」と指摘した。
中原審議委員は、6月短観で見ると、大企業が今年度の業務計画の前提としている円相場は1ドル=125.73円だとし、「最近の円高傾向が企業収益を圧迫し、これが、ひいては株価に影響することが心配されている」と述べた。同審議委員は、円の実質実効為替相場は3月末から特に円高に振れているとは言えず、これまでの流れはむしろドル安、と指摘。「ドル安が、米国経済の何を語っているかが重要だ。ドル安が米国の中長期的構造問題に根差すものであり、今後、すう勢的なものとして持続的ドル安/円高が続くと、日本経済も大きな影響を受けることになるだろう」との見方を示した。
同審議委員は、当面のドル安要因として、米国への資本の流れに変化が出てきたことを挙げ、「この先どんどん大幅なドル安が進むとはみていないが、日本をはじめ、世界景気の先行きを見るうえで、注意を要する」と述べた。
景気の現状については、「輸出の増勢を背景として底探りから底固めへ向かいつつある」との認識を示した。一方で、内需拡大のモメンタムは弱く、脆弱さや不確実性、リスクを抱えているとし、同審議委員は、「今後、第4・四半期にかけて、我が国経済は全体として緩やかな回復基調に入ると思うが、その足取りは弱いものとなりそうだ」述べた。
物価についても、「円高基調への転換や内需の弱さを反映して、デフレ傾向が続く」と語った。
当面のリスク要因として、中原審議委員は、(1)輸出の持続性、(2)内需の柱である設備投資と消費がどのようなタイミング、強さで出てくるか、(3)米国経済の先行き不透明、(4)為替――の4点を挙げて説明した。
このうち、在庫復元で戻した輸出増の動きについては、「いずれ、増加テンポは緩やかになっていく。米国景気の本格的な回復が遅れる懸念も強まってきており、円高基調への転換や中国、韓国などのセーフガード援用の流れも輸出の頭を抑える要因として働く可能性がある」と述べた。さらに、内需の弱さを指摘し、「設備投資と消費からなる内需という主エンジンに点火するのか、点火するとしてもそれはいつ頃になるのか、その前に輸出という補助エンジンが燃え尽きてしまわないか、といった懸念が残る」と述べた。