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「(ペイオフ全面解禁は)絶対にやらなければならない。(ペイオフ解禁とは)普通の状態に戻す、ということに他なりません。この点は極めて重要です。しかし、ペイオフ全面解禁に踏み切るために、金融システムを安定・強化させなくてはならない−−」
竹中平蔵経済財政担当相がこう言ってみせる。
この竹中発言は、まさに小泉内閣の“総意”と言っていいだろう。この“ペイオフ完全解禁”という一点に関する限り、小泉内閣は珍しく一枚岩の状況にある。
「とはいえ、与党サイドは、自民党のデフレ対策特命委員会を中心に、ペイオフ全面解禁の延長論を主張する勢力が多数派を占めつつある。つまり、“ペイオフ全面解禁”の是非を巡っては、完全に政府vs与党という形の対立の構図が鮮明になりつつあるのです。我々銀行業界は、この議論の決着がどの様な形でつくのか、まさに固唾を飲んで見守っているのが実情です」(大手都銀役員)
とは言っても、ここ最近の政府−−特に金融庁、財務省の動きを見ると、政府サイドとしても全くの無条件で−−つまり何の“付帯条件”も付けずに、“ペイオフ完全解禁”に踏み切るのもいささか無理がある、という考えに傾きつつあると見ていいだろう。
先週末の金曜日(7月5日)、塩川正十郎財務相は、コペンハーゲンで開かれている「アジア欧州会議(ASEM)」の財務相会合の席上、
「日本はオーバーバンキング(銀行過剰)の状態にあり、我々はその是正非に取り組む」
と表明したが、この発言は、ペイオフ全面解禁に踏み切る上での条件整備を政府として積極的に進めていくという意味でとらえるべきだろう。
そして翌6日、塩川財務相はASEM財務相会合の終了後に開かれた記者会見で、
「(金融システムの強化を目的に)秩序だった金融再編を加速するためのガイドライン(指針)を作成する」
と表明したのである。
さらに合わせて、
「基準に合えば公的資金の投入はもちろんやるが、その他の税法上の問題も検討する−−」
と公的資金投入問題にまで踏み込んだ発言としたのである。
「財務相サイドは、塩川発言に対して『公的資金問題も含めて我々の関知するところではない−−』と距離を置いたスタンスをとっているが、それは違う。塩川財務相にああした発言をさせるように仕向けたのは、他ならぬ財務省サイドだ。間違いなく陰のシナリオライターは財務省だ」(金融庁幹部)
そしてこう続ける、
「ペイオフ解禁が延期されれば、新たな財政負担が発生することは必至。公的資金投入で済むならば、現在の預金保険機構のワク組みの中でその対応は十分に可能だ。新たな財政負担を嫌う財務省としても、ペイオフ解禁延期は避けたいところなのだ」(前述の金融庁幹部)
これ以上の財政負担の増加は、国の信用力の低下−−ひいては国債の信用力の低下をまねきかねない。
「財務省としては、是が非でもそうした状況に陥ることだけは回避したいのだろう」(大手都銀幹部)
この、“公的資金投入問題”の今後の展開には要注目だ。