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内閣府が11日に発表する7月の月例経済報告で、景気判断が上方修正される見通しとなった。5月の報告では「景気底入れ」を宣言したが、今度は「景気底離れ」を打ち出す方向で検討しているというのだ。失業や賃金カットにあえぐ巷のサラリーマンの実感とはあまりにもほど遠い内容だが、それもそのはず。上方修正は、支持率低下に歯止めをかけたい小泉政権の苦肉の策であると同時に、そのウラからは財政支出を押さえ込みたいという当局の意図がプンプン臭ってくるのだ。
「設備投資の先行指標にある機械受注の数字いかんでは、底入れからさらに踏み込んだ前向きな判断をすることが可能だと思う」
竹中平蔵・経済財政担当相は7日のNHKの番組でこう言ってのけた。
政府は5月の月例経済報告で、「景気は、依然厳しい状況にあるが、底入れしている」として、底入れを宣言。6月の報告では、判断を据え置いていた。7月の報告では、「厳しい状況」との言葉は残すものの、「一部で底離れの動きも見られる」との表現に修正するとみられる。
政府が上方修正する最大の根拠は、今月1日に発表された6月の日銀短観で、大企業の業況判断が1年9カ月ぶりに上向き、過去最大の改善を記録したほか、鉱工業生産指数が引き続き上昇基調にあることだ。
ただ、経営者のマインド好転と生産アップは米国向けを中心とした輸出増大のおかげだが、「米国経済の先行き不安と円高で輸出頼みの回復シナリオが揺らいでいる上、最近の株価低迷が再び企業マインドを冷え込ませかねない」(民間エコノミスト)との懸念が高まっている。
政府にもこうした認識はあるようで、7月の報告でも、先行きのリスクについては強く言及するという。リスクを承知しているにもかかわらず、あえて上方修正するというわけだ。
「小泉政権の経済無策に対する批判をかわしたいという側面もあるだろうが、それよりも7月という時期がポイント。これから来年度予算編成や税制改正論議が本格化するが、与党内には新たな景気対策として、財政支出の拡大や大規模減税を要求する声が根強い。これに対し、小泉−竹中ラインは財政再建を優先する財務省の言いなり。景気回復を強調することで、財政支出を押さえ込みたいという財政当局の意図が透けて見える」
財務省関係者はこう解説する。
政府の景気認識と経済実態が大きくかい離しているのは今に始まったことではないが、市場関係者の間からは「無策だけならまだしも、誤った景気判断に基づいて小泉首相が財政再建路線を突っ走り始めれば、せっかく底入れした景気が底割れするのは確実。上方修正は危険な兆候」(外資系証券ストラテジスト)と危惧する声が高まっている。