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日本の企業業績回復の生命線を握る米国市場が前月末から不安定に軟調推移している。米株の動向は、日本株に対して明確な売り材料のはずだが、日経平均や東証株価指数(TOPIX)は、なぜか値を保っている。答えは簡単、公的年金の買いが主導する形で“官製相場”が展開されているからだ。ただ、買い支えが活発化するのは通常は期末だ。9月の中間決算までにはまだ3カ月もあるため、「早すぎる買い支えがいつまでもつのか」(準大手証券)とその危うさに市場関係者の懸念が高まっている。
●活発な“先物買い”
今回も相場を下支えしているが、公的年金から入る指数先物への大口買いだ。今月2、3日は米国市場の急落を嫌気したディーラー勢の売りがたまった段階で「場の売り物をすべてさらうかのような大口買いが確実に入った」(同)といい、採算を度外視した注文の入れ方に市場関係者の多くが「公的のインデックス防衛」を強く意識した。
6月最終週は、主要インデックスが大台割れをうかがうレベルまで下落。大手銀行の株式含み損拡大懸念が頭をもたげ、金融システムが再燃しかねない状況に陥った。加えて「複数の政府保有株売却に関する詳細が今月中に決まる」(政府関係者)とあっては、投資家の多くが「おなじみの相場介入が繰り返されている」(米系投資信託)と恒例行事にあきれ顔だ。
●「援軍なし」に高まる不安
官製相場には慣れっこの市場関係者たちだが、ある1点については一様に不安を隠せない様子だ。今年2月〜3月に空売り規制が一段と強化された弊害で、「公的買いが入っても、相場全体が力強く跳ねなくなっている」(同)ためだ。
違法な空売りは別としても、相場の先安感が強まった際の空売りは重要なヘッジ手段だったことは間違いない。現状は「空売りの残高が極端に減ったため、潜在的な買い戻し需要もほとんどなくなってしまった」(銀行系証券)。需給面での“援軍”を政府当局は自ら殺してしまった訳だ。
逆に「仕掛け売りが先物市場に偏ったため、個別株の急落で済んだ空売りに比べ、相場全体が急落する傾向が強まっている」(先の米系)と規制強化の弊害も強く意識され始めている。
今週以降、米主要ハイテク企業の4〜6月期業績発表がピークを迎えるとともに、日本株は米国市場の動向に一喜一憂する展開となるのは必至。加えて、政権基盤が急速に弱まる小泉政権の行方など、先行き相場の波乱材料は尽きない。需給面での援軍もいない現状では、公的年金による買い支えも従来よりも効かなくなる可能性が大だ。早すぎる官製相場の到来に、市場関係者の不安が増大している。
(相場 英雄)
・またまた悪材料?〜財務省人事凍結で市場にため息
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200206/26/20020626114009_71.shtml