現在地 HOME > 掲示板 ★阿修羅♪ |
|
駅伝やラグビーの活躍で知られる「大東文化大学」(東京都板橋区)が、資産運用していた「アルゼンチン債」で約三十八億円の損失を計上していたことが五日、関係者の話で分かった。同大は総額約五百七十七億円を運用しているといい、近く始まるキャンパスの整備計画や、学校運営に特段の支障はないというが…。
「すでに理事会や評議員会、教職員など学内の関係者に報告済みです。(損失が出たのは)いいことではありませんが、特に影響はありません」。同大の辻野史朗事務局長はこう説明する。
同大は三月末時点で、簿価約四十八億六千五百万円分のアルゼンチン債を保有している。「償還期限はきていませんが、昨年末に利息が振り込まれたのを最後に、ことし三月に支払われるべき利息の支払いがなかった」(同事務局長)。年度末の決算で、同債を時価で評価した結果、三十八億八千七百八十九万六千円の損失を計上したという。
「資産を運用する際は、満期まで持つのを方針にして、利息で利益をあげようという考え方でした。国債ですから、つぶれることはないだろうと考えてましたし、外国債がデフォルト(債務不履行)になっても、紙くずになることはほとんどないという判断で購入していた」と同事務局長。「(大東文化大は)約五百七十七億円を資産運用しています。今までの運用益もあり、大学の運営自体に影響はありません」
■「紙くずにはならぬと判断」
同大は八月から、三カ年をかけて数十億円(関係者)をかけて板橋キャンパスの整備を進める計画。同事務局長は「具体的な予算規模を明かすことはできませんが、こちらのキャンパス整備にも支障はありません」という。
ちなみに同大は、二〇〇〇年度、全国の大学で六十八番目にあたる八億四千五十六万円の国庫補助金を受けている。
文部科学省私学部の担当者は「決算前に大学から事前に報告を受けていた。投資金の原資は、学生の学納金や国からの補助金でもある。学生や保護者も含めた学内の関係者にも、事態を説明して理解を得るように指導した」と言う。
アルゼンチン債に投資していたことには「株式のような投機性の高い商品ではなく国債なので、運用自体がけしからんとは言い難い。今のところ、他の大学で同様のケースがあったという報告は受けていない」と言う。
同大は、同省の指導もあって父母会の総会でも事態を説明。今後、学生に対しても説明書を作って配布する予定だ。
学生の父親の一人は「学校に納めるお金は年間百万円近い。三十八億円もあったら、学生何人分の学費に相当するのか」とあきれ顔。職員の一人は「局部長クラスには、正式に報告があったようですが、われわれは漏れ伝え聞いただけ。理事長は給与を一部返上すると申し出たらしいが、うやむやになったようだ。誰も責任を取らないうちの大学らしい体質が出た」と嘆いた。評議員の一人は「資産運用は、事務方が主導している印象だ。理事会の権限強化が必要だと思う」と指摘した。
■大学の経営実態 情報公開が必要
河合塾の西日本大学事業部長で大学のコンサルティングを手掛ける滝紀子氏は「少子化時代に入り、すでに私立大学の三割で定員割れが起きている。〇九年には、志願者数と定員が同じレベルになる『全入時代』に突入すると予測されている。多くの大学は学生からの学納金に頼っており、特に中堅以下とされる大学は厳しい状況だ」としたうえで「将来の基金を確保するための資産運用は、米国の大学でも行われている。ただ、日本の私立大学の経営実態は、外部から分かりづらい。積極的な情報公開が必要だ」と話した。
アルゼンチン債は、東京都や横浜市、東京都品川区など全国の自治体関連の外郭団体などが購入し多額の損失を出していたことが、次々と明るみに出て問題となっている。