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ペイオフ全面解禁が予定される2003年4月に向け、安全性を求めるマネーが水面下でじわりと動いている。郵政事業庁によると、2003年も国の支払い保証が継続する郵便振替口座残高は、6月末で2兆8149億円となり、3月末時点よりも1兆円近く増加している。また、金(ゴールド)といった実物資産の需要も引き続き堅調だという。
2003年4月からは、普通預金や当座預金などの決済性預金の全額保護が外れ、本格的なペイオフが実施される見込み。だが、ペイオフ全面解禁を視野に入れた大規模な資金シフトは未だ明確ではない。市場の一部では、「遅くても今秋頃には、銀行間の資金移動が明確になってくるのではないか」(外資系銀行)との声は少なくないが、どれも想像の域を出ていない状況だ。3月末を無事乗り切ったことから、昨秋のエンロンショック以降の過度な信用リスク懸念も、新年度に入り大幅に後退している。
その一方で、安全資産を選好する動きもある。
郵政事業庁によると、郵便振替口座の残高は、6月末で2兆8149億円となり、3月末時点からほぼ1兆円も増加している。同庁は6月末の増加要因について、「送金決済サービスの利用増加に加え、季節的要因として、株式の配当金関係の資金が1000億円ほど振替口座に入っているため」(貯金部)と説明しており、ペイオフとの関連性には言及していない。
郵便振替口座は、もともとは決済専用口座として機能しており、無利子。だが、安全性を重視する向きには、資金を滞留させるメリットがいくつかある。定額預金や通常預金のように1000万円の預金限度額はないうえに、今後、郵政公社に郵貯事業が移管しても、国の支払い保証が継続する──といった意味で、安全性が高いという。
金などの実物資産にも、投資家の資金が引き続き流入している。宇宙服のヘルメットのシールド部分にも使用されるなど、幅広い範囲で利用される金は、元本保証はされておらず、金利を生まない資産。だが、換金性の高さや安全資産ということも手伝い、幅広い年齢層に堅調な販売状況だという。
田中貴金属工業によると、今年1月─6月の金地金販売は、昨年上半期に比べ3倍の伸びだという。金貨500オンス入りを約2200万円、100オンス入りを約440万円で販売する“千両箱”は、今年1月から6月の半年で、一昨年の売り上げをすでに超えているという。
この背景について同社は、「1─3月にかけてペイオフ解禁が話題となり、4月以降も不透明な経済状況を背景に金の販売は好調だった。価格が上昇すると以前は買い手控え感が広がったが、今回は価格が上昇する場面でも購入が続いた」と説明している。
来年4月予定のペイオフ全面解禁については、経済界や与党内部から延期論が出ており、議論の行方は流動的だ。柳沢金融担当相は2日、延期論が出ていることに対し、「基本は動いていない。(予定通りに決済性預金を含めた全面解禁とする)考え方を変えるつもりもないし、変えなければならないという状況にはないと判断している」と述べ、従来からの方針を堅持する姿勢を示している。