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経済学に、フィリップス曲線という概念がある。
これは、物価上昇率と失業率は反比例する(トレードオフとも言う)ということをグラフにしたものだ。縦軸に物価上昇率をとり、横軸に失業率をとる。ここで物価上昇率は人件費においては労働者の賃金であるから、失業率が上がれば上がるほど、物価の上昇率(賃金の上昇率)は低下する。つまり、インフレにはなりにくいのである。
ただ、物価の上昇には、人件費の上昇のみならず、材料費や、経費、例えば円安になり、原油価格が高騰すれば、電気代もかさむであろう。また、物価は上昇しながらも、失業率は上昇するというスタグフレーションという状態もある。
現在の日本は、デフレであり、物価はあまり上昇していなく、失業率は高い状態である。まさにフィリップス曲線で言うところの、「物価上昇していない状態では、失業率は高い」という状態だ。
経済の理論は、緩やかな物価上昇を前提に理論が構築されていると思う。そうでなければ、ハロッド・ドーマーや新古典派の「経済成長の理論」という分野は学習しないはずだ。経済の成長とは、前年より今年の総生産が増えているのだから、物価もそれに伴って適正な上昇をするはずである。
したがって、経済成長、引いて言えば雇用の安定は、ある程度の物価上昇が発生するはずである。それが、賃金の上昇率よりも物価のそれが小さいとき、労働者は一番望ましい状態にあると思われる。(実質所得の上昇)
でも、今議論されているインフレターゲットはどうかな〜? 労働者の雇用が安定していないのに物価上昇をさせてしまったら、スタグフレーションになり、労働者にとっては地獄絵図になるかもしれない。
フィリップス曲線でも短期のフィリップス曲線は上記の通りであるが、長期のフィリップス曲線はある点よりも失業率は低下しないといわれている。思うに、自発的失業者が存在するからであろう。
ケインズ経済学でも完全雇用は理想の状態であり、それを目指すようにしようというふうに考えられているのだと思う。それが「供給はそれ自らの需要を生み出す」から「有効需要の原理」に取って代わられた大きな理由であろう。
いずれにしても、雇用の問題は今も昔も大変である(ー_-)