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「平成9年11月を境に、われわれ日本人の『人生の幸福モデル』が崩壊してしまったのです」
みずほ総合研究所で主席研究員を務める真壁昭夫氏がこう言ってみせる。
真壁氏の言う『人生の幸福モデル』とは、いったい何を指すのであろうか。
「つまりそれは、いい学校を卒業して、いい企業に入って、あとは仲間と仲良く…、といったような、これまで日本人がとりあえずベストと考えていたライフモデルのことを指します。ところがそうしたモデルは山一証券や北海道拓殖銀行の経営破綻をきっかけに完全に崩壊してしまったのです。つまり、つぶれるはずのない企業がつぶれてしまったことで、−−特に北拓の経営破綻は大きい、北拓はまがりなりにも、“都市銀行”の一角に名を連ねていた。当時、誰が都銀の経営破綻を予想したであろうか−−われわれの『人生の幸福モデル』は崩壊してしまったのです」
真壁氏の言う『人生の幸福モデル』とは、言葉を換えれば「寄らば大樹」ということになるだろうか。
「そのためにもわれわれは自分たち自身で自分の新しいモデルを作らねばならなくなったのです」(真壁氏)
真壁氏といえば、当代一流のエコノミストにして日本経済新聞や朝日新聞など大手日刊紙では常連コメンテーターとして名をはせている人物だ。筆者自身、ここ数年来、真壁氏とは親しくお付き合いさせていただいている。とは言っても一方的に教えを請うているだけなのだが、筆者にとっては、まさに畏友とでも言うべき存在だ。
その真壁氏がこう続ける。
「しかし、“新しいモデル”を作るためには、知識が必要なのです。つまり自分の身を守るためには知識武装が必要なのです…」
そのわが畏友が今日(7月1日)付でそうした“知識武装”のススメを説いた本を出版した。
PHP研究所刊『これからの年金と退職金がわかる本』が、その本だ。サブタイトルには、“あなたの生活設計は大丈夫?”とある。
「これまでの『人生の幸福モデル』では、一生懸命働いてさえいれば、年金などによって企業が老後の面倒をみてくれたのです。ところが企業にその余裕がなくなってきた。それどころか企業そのものが消滅してしまう時代に突入してしまったのです」(前述の真壁氏)
そしてこう続ける。
「今われわれに最も必要なのは、企業が年金というシステムをどのように考えているか、そしてどのように変えようとしているのか、ということを知ることなのです。そうしたことを知らずしてこれからの時代は乗り切れません」
真壁氏のような一流エコノミストが、こうした“実務書”を執筆するということは、極めて希と言っていいだろう。
とはいえ本書は難解な学術書の類ではない。さまざまなケーススタディーを中心に書かれた、年金に関する平易なノウハウ書に仕上がっている。
しかも同書には、大手マスコミも注目する“真壁理論”も随所に盛り込まれており、まさに必読の一冊だ。
「『人生の幸福モデル』はもはや崩れ去った−−」こう指摘してやまない真壁氏の主張は、筆者としてもまさに同感だ。
当コラム読者には、ぜひとも目を通していただきたい。