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●郵政関連法案不成立なら衆院解散
政局は、延長国会も残すところ1カ月を切り、小泉純一郎首相が「構造改革の本丸」と最も力を入れている「郵政」と「道路」の問題が最大の焦点となってきた。特に郵政関連法案は首相が担当の片山虎之助総務相に「早期の無修正成立」を指示したことから自民党郵政族などが強く反発。「我々に対する宣戦布告だ」(荒井広幸総務部会長)と首相と全面対決の様相をみせている。もし本当に首相が郵政族の部分修正提案もはねつければ、同関連法案が不成立ー廃案になる恐れがあり、その場合、首相が衆院解散に打って出る可能性が非常に高まる。郵政族側もこうした「不測の事態」を回避しようと、法案の部分“修正”ではなく、国会答弁などでこれに代える妥協案も模索しているが、もし首相がまず「解散ありき」であれば、こうした妥協には一切応じないことになる。
●“変人”首相なら自民大敗でも解散断行
そこで今後の衆院解散・総選挙のタイミングについてもう一度おさらいすると、(1)今国会会期末〜7月末(2)今秋の臨時国会〜9月末か10月初め(3)任期満了選挙〜2004年6月―の3通りが考えられる。
今国会での解散は先程触れたように、ひとえに郵政関連法案が成立するかどうかにかかっている。常識的な見方をすれば、今、衆院を解散したら自民党は間違いなく惨敗する。普通ならそういう時に解散を選択することなどあり得ないのだが、その意味で小泉首相は「奇人変人」の類いである。何しろ「私の言う事を聞かなければ、私が自民党をぶっ壊す」と主張して、昨年の参院選を勝ち抜いた人だけに、「郵政法案が成立しなければ解散」との首相の言はあながち脅しとは思えない節がある。
●創価学会も小泉首相を見放した?
首相が密かに解散に踏み切る決意を固めていることを想起させる、気になる情報を3つ。まず第1に、首相が唯一人心を打ち明けられる相手の山崎拓自民党幹事長が最近、「(首相の)性格的に言うと突然決断する」と、首相の突然の解散決断の可能性をにおわせていること。第2に、山崎氏は先日、周辺に「自民党は寿命だ」と述べており、幹事長側近は同発言の真意について「やはり小泉ー山崎ラインで解散を準備しているような気がする。もちろん自民党は大敗で、“自爆解散”だ」と解説していること。第3に、公明党の最大の支持母体・創価学会の幹部が最近、青木幹雄自民党参院幹事長に対し、「小泉政権は来春の統一地方選まで何とかもたせたいと考えていたが、とてももたない。解散の時期は任せる」との考えを通告した―などが挙げられる。いずれも状況証拠の域を出ないが、かといって全く無視していい内容ではなく、信ぴょう性は相当程度高いと見て差し支えなさそうだ。
●結局、今秋解散が「本命」か
もちろん山崎氏が指摘するように、小泉首相の性格から見て、今国会末に“キレて”解散との可能性も皆無とは言えない。ただ準備期間などを考えれば、ごく“常識的”には、首相が解散に踏み切る最後で最大のチャンスはやはり秋の臨時国会時だろう。それでなくても10月27日の5つの衆参両院補選は自民党内の候補者調整が全く進んでおらず、このままでは全敗の懸念も指摘されている。もしそうなれば、小泉政権にとって大打撃となり、一気に政局運営の主導権を失い、同政権の“野たれ死に”につながりかねない。これを回避するために、臨時国会を召集したうえで、9月末か10月初めに衆院を解散することが考えられる。しかし、このケースでは加藤紘一元幹事長ら辞任した前議員も選挙に出馬できるため、「親友を救済するためではないか」との批判は必至。ただ繰り返しになるが、小泉首相は常識で推し量れないことを再度指摘しておきたい。
●民主党代表候補に前原、枝野氏ら若手
そこで衆院解散・総選挙があり、もし自民党が惨敗した場合、その後の受け皿はどうなるのかということが大きな問題となる。通常なら現在、野党第1党の民主党を軸とした政権が誕生する可能性が高まると見るのが常識だろう。特に、近々選挙が行われれば、「政治とカネ」の問題などで次々と議員が辞職または逮捕されている自民党が痛撃を受けるは不可避だ。
では民主党は一体どうなるのか。9月に予定される同党代表選にはこれまで、鳩山由紀夫代表と菅直人幹事長が事実上の政権構想をまとめるなど出馬準備を進めているとされてきたが、同党内ではこのところ若手を中心に鳩山、菅両氏ではない「第3の候補」を模索する動きが続いている。これまでのところ、当選3回の前原誠司幹事長代理や枝野幸男政調会長代理、玄葉光一郎氏ら40歳前後の若手を担ぐ動きが活発になりつつある。
これに対し、菅氏は左派の横路孝弘氏や赤松広隆氏との連係を模索しているようだ。しかし、鳩山氏は既に若手候補支援に回りつつあるとの有力情報もある。いずれにしても、今回の代表選びは首相候補と直結するだけに、その結果によってはせっかく訪れる政権獲得のチャンスも逸することにつながりかねない。
(政治アナリスト 北 光一)