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2日間の討議を終えたカナダの主要国首脳会議では、テロリズム阻止、最貧国支援など国際的な協調行動に向け、参加各国が足並みをそろえた。しかし、世界経済の先行きについては、問題を抱える日本政府も楽観論に相乗りし、突っ込んだ議論は実現しなかった。経済討議を脇に回した今回のサミットについて、金融市場では、「日本問題から目をそらした」(民間エコノミスト)との受け止め方もあり、各国首脳の好意的な反応にもかかわらず、小泉政権の景気運営に追い風になったとの評価は少ない。
ロッキー山脈を望むカナダの観光リゾート、カナナスキスで開催された主要国首脳会議(カナナスキス・サミット)は、冒頭から金融市場の厳しい警告にさらされた。米ワールドコム
しかし、会議に参集した各国首脳たちは、こうした金融市場の動きを無視するかのように、世界経済への楽観論を繰り返し、26日午前のG7首脳会議では、全く経済の話に触れなかったという。首脳会議後にブリーフィングを行った日本政府関係者に、記者団が「日本経済の話も何も出なかったのか」との質問を何度も浴びせたが、担当者は「(株や市場や経済の話は)一切出ていない」と答えるばかりだった。
その日午後、ロシアを加えたG8首脳会合では、世界経済がテーマの1つになった。しかし、日本政府代表団などによると、その内容は、「先行きについては総じて楽観的な見方が表明された」、「経済のファンダメンタルズに関する懸念の表明はなかった」と危機感のないものばかり。最初の発言者として指名され、日本の経済情勢を説明した小泉首相も、「支持率は下がっても、改革路線を歩む姿勢は変わらない。改革なくして成長なしだ」と構造改革路線にかける意気込みを繰り返した。
サミットでの経済討議について、市場には冷淡な評価が多い。ドイツ証券シニアエコノミストの森田長太郎氏は、日本の政治、経済問題が「若干、目をそらされた格好だ」との見方を示す。同氏によると、米国は世界的な景気環境の悪化や日本の政策対応の遅れなどを認識しているはずで、サミットの討議内容は「疑問符がつく」という。
小泉首相が自らの改革政策について「各国首脳から激励と評価を受けた」と語ったことについても、厳しい見方が多い。モルガン・スタンレー証券エコノミストの佐藤健裕氏は、日本経済を活性化して各国からの評価を取り戻すには、「言葉だけでなく、早く結果を出す」ことが肝要と指摘、「日本は構造改革を進めてポジティブサプライズを出してゆくことが重要だ」と述べる。
「サミットに特に目新しさはない」と語るのは、大和証券SMBC・エクイティ部部長の神内一憲氏。同氏によると、市場はサミットに向けて小泉政権がどのような税制改革を打ち出すか注目していたが、結果は「失望感の強い内容となった」。
首脳会議では対円、ユーロで急落したドル相場についても突っ込んだ議論がされなかったが、神内氏は「日本は貿易黒字が拡大しつつある一方、米国は中間選挙を控えている。市場に任せるとの方向性は仕方ないだろう」と述べ、日本として、円高是正の国際協調を求めることが難しいとの見方を示している。