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急速な円高進行で今期の収益悪化が懸念される輸出企業
の間で、為替予約の手控えムードが広がっている。輸出筋によれば、企業の多くが「通貨当局の介入で相場が上昇した局面でドルを売る」という姿勢を崩しておらず、120円台以下での為替予約をためらっているためだ。各社の想定為替レートは1ドル=125円前後。市場関係者らは、円高への対応が遅れると今後の業績が下振れする可能性もある、と指摘している。
企業は輸出入するときに銀行との間で一定の為替レートを決め、規定の期日に売買することでリスクを回避する。市場関係者によれば、輸出企業の多くは4−6月については1ドル=130円で予約済み。今回の円高で、「向こう3カ月にあたる7−9月に120円となっても、大方の想定レートどおり125円に落ち着く」と試算している。
しかし、日本の通貨当局の再度の介入にもかかわらず、「ドルの上値は重い」(市場筋)とみられており、輸出企業には、「3−6カ月などやや長期的な為替ヘッジが必要」(ソニー担当者)との声もある。こうした中、輸出筋によれば、即座に対応する動きはあまりなく、現時点では様子見の姿勢に終始している企業が多い。「先の介入でドルが上がった局面で一部輸出企業のドル売りが出たが、大半の企業はいまの為替の動きが一過性のものか見極めている状態。現状の円高に対して静観しており、為替予約の動きは鈍化している」という。現在のスポット水準が120円を割り込んでいるため、現時点では年末まで120円台の輸出予約を確保することは難しいという事情もある。
円高進行で、自動車、電機業界などは収益圧迫が懸念されている。自動車業界では2002年3月期決算で円安の追い風を受けて軒並み過去最高を記録した。もっとも影響の大きいトヨタでは1円の為替変動で200億円の影響がでるとしており、前期も営業利益ベースで4100億円が増益要因となった。
一転して円高となった場合、各社はリスクを軽減するため現地生産をすすめるなどしているが、為替予約による軽減効果も大きい。ある輸出筋は、「介入に対する期待感が漂っているため、輸出企業は上昇したときに売るつもりだろう」とみているが、現時点で大きな動きはない。
110円台の円高が長期化すると、自動車メーカーをはじめとする輸出産業の収益悪化を懸念する声は根強い。ドイツ証券の吉田達生アナリストは、「各社とも社内向けレートを厳しく想定しているため、メーカーのファンダメンタルズからすれば十分対応できる」とみる。しかし、110円台に突入すれば増益の足かせとなると指摘。東京三菱証券の石野雅彦アナリストは、「7−9月以降、110円台の為替水準が続いた場合、例えばソニーだと数百億円レベルの影響がでる」と見通している。
《1円の為替変動による業績への影響》
トヨタ自動車<7203.T> 200億円
トヨタ自動車
ホンダ<7267.T> 140億円
ホンダ
日産自動車<7201.T> 90億円
日産自動車
ソニー<6758.T> 80億円
ソニー
日立製作所<6501.T> 30億円
日立製作所