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東京株式市場の急落と円急騰で、「景気の底入れ」を強調し、目先の景気対策より財政再建を含めた構造改革に重点を置いてきた政府は、政策スタンスの変更を迫られる可能性が出てきた。米経済の回復による輸出拡大で、景気を回復軌道に乗せるシナリオは崩れつつあり、与党から第2次デフレ対策に続く本格的な景気対策を求める声が高まるのは必至だ。
東京市場が円高、株安のダブルパンチに見舞われた26日、塩川正十郎財務相は福田康夫官房長官と政府の対応を緊急協議。財務省も幹部が夜まで鳩首協議を重ねた。しかし、25日に企業の研究開発・設備投資減税を中心とした第2次デフレ対策を正式決定したばかりで「妙案など出るはずもない」(財務省幹部)のが実態だ。
ただ、第2次デフレ対策も、中長期的な構造改革に重点を置き、目玉の減税も即効性は期待できない。国債発行額を30兆円以下に抑制する小泉純一郎首相の公約を守るため、今年度の税収を減らさず、歳出も増やさないという条件で取りまとめたためで、与党からは強い不満が噴出している。当てにしていた米経済も、先行き不透明感は強まる一方で、株価急落で景気が一気に失速する懸念さえ出てきた。
手をこまねいていれば日本経済は「底入れ」から一転して、再び後退に向かいかねないとの見方もある中で、あくまで「30兆円枠」を堅持して改革路線を突き進むのか、それとも方針転換して与党が求める大型減税の年度内実施など本格的な対策を打つか。小泉首相はサミットから帰国早々にも、厳しい判断を迫られる。 【川俣友宏】
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外国為替市場では、ブッシュ米大統領がカナナスキスで記者団に語った「相場の力に基づいて適切な水準に向かうことになるだろう」との発言が、ドル安容認と受けとられた。3月の日銀短観では、輸出企業の想定為替レートは1ドル=124円程度が多く、急激な円高は、輸出を起点とする景気回復の芽を摘みかねない。ドル売り・円買い圧力は根強く、市場では「115円を目指した動きになる」との声が強まっている。
「ドル不信」の根深さを背景に、投資家は「ドル資金はユーロや豪州ドルなど幅広い通貨に逃避しているうえ、金や銀にも流入しており、米国売りにつながりかねない」(都銀)とみている。
ブッシュ大統領の発言で市場は、これまでの米国の「強いドルは国益」との主張に懐疑的になっている。トリシェ・フランス中銀総裁やアイヒェル・ドイツ財務相は「強いユーロは望ましい」とユーロ高を追認、円相場は海外で一気に1ドル=118円台に突入した。
一方、福田康夫官房長官は「ドル安・円高は日本経済だけでなく、世界経済にとっても悪い影響を及ぼす可能性がある。必要に応じて適切な対応をしていく」と、円高阻止の姿勢を鮮明にしているが、欧米の思惑と一致していないとの指摘がある。5月に1ドル=125円台だった介入水準も次第に切り上がり、単独介入の限界を示した。
【藤好陽太郎】