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「直接的には売り材料視されていないが、正直なところ失望せざるを得ない」（銀行系証券幹部）―。今年も凍結される財務省の幹部人事を巡って、株式市場関係者の間からため息が漏れる。武藤敏郎事務次官の在任期間が戦後初の3年目に突入するほか、黒田東彦財務官も異例の4年目となる。財務省高官の留任が嫌気されるのは、「構造改革実現の可能性が限りなくゼロに近づく」（同）との観測につながっているためだ。

●塩爺のわがまま？

塩川正十郎財務相は19日の会見で「来年度予算編成と税制改正は日本の将来を決めるターニングポイント。苦労を共にしてきた幹部は真の改革のために努力してほしい」と発言、事実上幹部人事の凍結を宣言した。人事を巡る水面下の駆け引きは他稿に譲るが、株式市場では「次官候補とみられていた林正和主計局長と大臣の折り合いが極端に悪く、塩爺がわがままを突き通した」（大手証券）との観測が流れた程度で、異例づくめの人事案件は比較的冷静に受け止められている。しかし、「先々の火種になる」（同）との懸念は根強い。

●誰も次を期待していないが・・・

財務省高官の人事凍結が嫌気されているのは、次期幹部とみられてきた人材への期待が高く、これが先延ばしされたことへの不満があるのではない。先に当サイトにおいて、空売り規制の強化を含めた第1次デフレ対策の青写真を描いたのがある財務省幹部だと指摘した。今回、この幹部を含む同省の現体制があと1年近く継続することになったため、「今年3月の危機を問題先送りで乗り切ったように、今後も同じ種類の“対策”が講じられる可能性が極めて高くなった」（別の銀行系証券）ことが失望を招いているのだ。
折りしも株価の調整色が強まり、早くも9月中間決算に向けて金融システム不安が芽生えている時期である。「今度は何を規制強化するのか」（同）との嫌味まで漏れてくる。

●政権基盤の弱体化も相まって

市場関係者が今回の人事凍結を嫌がるのは、小泉政権の基盤が弱体化する中で「官僚主導の政権運営がますます幅を利かす」（同）ことも根底にある。まして経済オンチの小泉政権である。
「財務省主導の“政策”が官邸に持ち込まれれば、またまた市場原理を歪めるような事態が起きる」（先の大手証券）。長年官僚の動向をウォッチしてきた向きからは「任期の最終年では、大半の官僚が冒険を避け、極端に保守的になりがち」との声が聞かれる。財務省幹部も事なかれ主義を貫いて、任期をまっとうする可能性が高い。経済ブレーン不在の現政権にあっては、「改革の実現はますます遠のくことが確実」（同）と市場関係者の失望感は広がる
（相場　英雄）
　
・株価急伸の仕掛け人「ミスターSS」とは？
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200203/19/20020319101006_27.shtml

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