現在地 HOME > 掲示板 ★阿修羅♪ |
|
「株価の変動については、悪い局面となれば今後も減損は避けられない」―。NTTドコモ<9437>の定時株主総会が開かれ、立川敬二同社社長は海外での投資事業についてこうコメントし、これまで強気一辺倒だった海外投資戦略に暗い影を落とし始めているようだ。「絶対に赤字にならない」(立川社長)として購入したAT&Tワイヤレス株が、現時点で購入時の四分の一以下に下落するなど、株主からの批判は避けられない状況にある。あくまでも「中長期的な視点からも海外投資の継続は必要不可欠」と強調するが、iモードの欧州戦略も連動してスタートしており、創立10周年の節目にあたる2002年、同時にドコモは“正念場”をも迎えることになる。
●見せなかった弱気な一面が出始めた・・・
NTTドコモの定時株主総会では海外投資先の企業価値の下落を背景にした特別損失に対する経営責任のあり方に質問が集中した。しかし「特別損失に対しては、責任を感じている」としたものの、その一方で引き続き海外投資を継続することを強調、株主たちの意見を退けた。それでも、これまでには見せなかった弱気な側面を海外投資戦略の考え方にちらつかせたことも事実だ。
今年創立10周年を迎えるドコモにとって「四捨五入して1兆円の単独赤字」(株主)という状況は、株主から強い反発となった。また、10周年記念配当を含めて年間1500円という配当政策についても、「ドコモともあろう大会社がこの程度の配当では情けない」(同)というように、例年通り、株価に対する配当金の低さを指摘する声が相次いだ。
●「絶対に赤字にならない」はずだったAT&Tワイヤレス株
特に海外投資については「海外企業への投資は、いわば株主から集めた資金で行ったもの。昨年秋の段階で立川社長は、AT&Tワイヤレスは絶対に赤字にならないと言及したが、結局は大幅な赤字となったことをどう感じているのか」、「準備金が1兆円あったからいいようなものの、これがなかったらどうするのか」、「海外投資はリスクが大きい。フランスのブイグテレコムと行ったように、出資を伴わない提携にしてはどうか」などといった声が相次いだ。
これに対して、NTTドコモは「中長期的な事業拡大や国際競争力の維持という点でも、海外投資は引き続き行っていく。そうしなければ、生き残れない」として、こうした意見を退けた。その一方で「株価は企業価値だけでなく、市場全体の動向にも影響する。株価の変動については、悪い局面では、今後も減損は避けられない」とし、今後も減損処理の可能性があることを示唆するなど、弱気な側面も見せた。
●“財務的リターン”戦略を縮小方向へ?
その背景には、実業が堅調だといわれるAT&Tワイヤレスに関して、投資した時には23.5ドルだった株価が、今年3月末の特別損失計上時点では、3カ月間の平均株価が10.5ドル。さらに、そのわずか3カ月後の現在は、半値となる5.35ドルにまで大きく下落しているといった事情も作用している。
言い換えればNTTドコモが掲げてきた海外投資の狙いである「財務的リターン」と「戦略的リターン」のうち、「財務的リターン」戦略の考え方を縮小する方向へ修正し始めたともいえる。財務的リターンでは、キャピタルゲインによる利益確保を盛り込んでいたが、今回の一連の発言を聞く限り、この点はかなりトーンダウンしたようだ。
ドコモでは、継続的な海外投資の重要性を強調したものの、立川社長の「投資については、これまでの経験を踏まえて、慎重にやっていく」という発言や、役員の間から出た「出資以外の様々な提携も考えたい」という発言からも、以前と比べて海外投資を減速させる姿勢をにおわせた。6月20日からは海外3カ国目となる台湾でのiモードサービスがスタート。投資も実業も海外へ大きく傾斜する同社は、すでに後戻りできないところにまで来ている。
(柴山 豊)
・コンテンツ開発も欧州狙い〜ドコモ参入でiモード頼み
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200204/22/20020422114021_91.shtml
・笑う人あれば・・・NTTドコモが大型分割〜株価には??
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200203/07/20020307155003_21.shtml
・中国通信市場へ動く日本各社〜ドコモも乗り出す
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200202/21/20020221105512_72.shtml