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大手12行は22日、03年3月期に20兆円規模の資産(リスク・アセット)を削減する方針を固めた。30兆円超を圧縮した02年3月期に次ぐ史上2番目の規模で、さらに拡大する可能性が大きい。各行とも巨額の不良債権処理に伴い自己資本が目減りし、このままでは経営の健全度を示す自己資本比率が低下しかねないため、融資残高を含めた資産全体を圧縮する必要に迫られた。各行が今年から本格化させた不採算融資の見直しの動きと合わせて、貸し渋りが問題化する可能性が出てきた。
みずほフィナンシャルグループは、資産を94兆円から87兆円まで7兆円減らす方針。UFJグループは51兆円から4兆円減らす。三井住友銀行も02年3月期と同じく4兆円以上を削減し、63兆円台に資産を圧縮する。大和銀行とあさひ銀行のりそなグループも1兆3300億円減らし約27兆5000億円にする計画。東京三菱銀行だけは、他行の優良な融資先の一部を肩代わりする方針で、資産は微減の60兆円前後にどまりそうだ。
大手行は02年3月期に、約7兆5000億円の不良債権処理や、株式の評価損償却のため、資本準備金(資本の一部)の取り崩しに追い込まれるケースが出て、自己資本が大きく目減りした。自己資本比率の維持、向上のため、採算の悪い貸出債権の売却や不良債権を帳簿から落とす最終処理、株の売却などで資産圧縮を積極的に進めた。
03年3月期も、不良債権の処理額が高水準にとどまり、株価が低迷すれば、自己資本が減少するのは必至。しかも、大手行は、収益向上を目指して、今年から経営基盤の弱い企業に対して、融資回収ができないリスクに応じて、金利引き上げを要請する動きを本格化させている。引き上げが難しければ、貸出債権の売却も辞さない構えのうえ、新規貸し出しにも慎重との指摘もあり、貸し渋り批判が広がる可能性がある。 【藤好陽太郎】
◇ことば リスク・アセット
資産とほぼ同義。銀行の重要な経営指標である自己資本比率は自己資本をリスク・アセットで割ったもの。リスク・アセットは、回収困難に陥るリスクに応じて、資産金額を再評価したもので、融資、社債、株は100%、住宅ローンは50%繰り入れるのに対し、回収リスクの少ない国債は外債も含めて、原則として繰り入れない。自己資本比率は、国内行が4%以上、海外展開する大手行は8%以上を義務付けられているが、国際的に優良銀行とみられるには、12%程度が必要。