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企業の株式持ち合い解消を背景にして、日本にも「モノ言う株主」が増えつつある。27日の株主総会集中日を前に、アパレル大手の東京スタイルと国内初のプロクシー・ファイト(委任状獲得合戦)を演じて敗れたM&Aコンサルティング(本社・東京)の村上世彰代表に、日本企業のコーポレートガバナンス(企業統治)に対する見方を聞いた。
【斉藤信宏】
――東京スタイルの株主総会を終えた感想は。
村上氏 敗北は素直に認める。ただ、悲しかったのは、機関投資家が我々の提案に賛成してくれなかったことだ。白紙委任の会社もあった。世の中の流れが見えていない投資家もいる。
――やや強引な手法に批判もある。
村上氏 株主の百貨店や銀行、保険会社は「やってもらったことは多とします」と言っている。ただ、「東京スタイルも少しずつ変わったから、見守ってやらないと」という立場だった。
――次の手は?
村上氏 株は手放さない。まだ、もうかっていないからだ。約束通り、IR(広報)活動や事業計画を実行すれば、株価は上がる。秋の中間決算までは見守り、約束を守らなければ再び戦う。そうなれば、持ち合いの機関投資家も、自らの株主に言い訳できなくなる。
――運用しているファンドの現状は?
村上氏 現在、運用しているのは1つだけ。時価総額で600億円弱ぐらい。株式の時価総額に比べて資産が極端に大きい会社に投資している。出資者は海外が3分の1、国内が3分の2。国内はオリックスが一番の大口で、銀行4行、生命保険3社をはじめ事業会社を含めて20数社が出資している。ファンドは25社に投資し、東京スタイル以外の会社は我々の提案をほぼ100%受け入れている。
――資金集めは
村上氏 最初は厳しかったが、きちんとリターンを出しているので、今は比較的楽に集められる。ファンドの運用成績は最高益を更新中だ。約30%のリターンを出して償還したファンドもある。オリックスも、もうかるかどうか、という基準で投資していると思う。
――日本の株主総会は変わると思うIか。
村上氏 この国は変化を求めているが、その変化を先取りする人がいない。しかし、持ち合い解消が進めば、経営者は変わらざるを得ない。自社株買いをM&A(合併・買収)などの防衛策として利用しながら、企業統治を考えるというのが、将来の日本企業の姿なのだろう。
――今後の夢は?
村上氏 もうけたいから活動している。夢は、特に何もない。楽しく生きることができれば、それでいい。
村上世彰氏の略歴
83年に東大法学部を卒業後、通産省(現・経済産業省)入省。M&A(企業の合併・買収)の法整備などに携わった。99年に退官し、M&Aコンサルティング設立。東証2部上場の不動産会社、昭栄に敵対的なTOB(株式公開買い付け)を仕掛けて注目された。01年7月、東京スタイルの実質的な筆頭株主になり、今年1月に大幅増配や自社株買いなどを求める株主提案を行ったが、5月の株主総会で退けられた。42歳。