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21日の欧米外国為替市場では、塩川正十郎財務相が円売り介入の見送りを示唆したのを受けて円が急伸、ほぼ7カ月ぶりに1ドル=120円台に突入した。米貿易赤字の拡大や米国株安を背景としたドル売りも継続、ドルは対ユーロでほぼ2年ぶりに1ユーロ=0.97ドル台を付けた。
バンク・ワン・インベストメント・アドバイザーズのグローバル株式担当、シン氏は「国際分散投資をする投資家は資金を米国に置いておくことに対し不安を感じている」と述べ、アジアや欧州のほうに興味をもっていることを明らかにした。同氏は日本の通貨当局の円売り介入効果は限定的とみて、円が向こう1カ月間に一段の円高が進むと予想する。
午後4時(米国東部時間)現在、円はドルに対して1ドル=121円07銭と前日のニューヨーク市場終値(1ドル=123円53銭)から上昇。ドルは同時刻に対ユーロで、1ユーロ=0.9712ドル(同1ユーロ=0.9648ドル)と下落。円は対ユーロで1ユーロ=117円59銭(同1ユーロ=119円14銭)へ上昇した。
塩川正十郎財務相は同日の閣議後会見で、1ドル=123円台と円高の水準で推移している為替相場について、「われわれの力で市場を支配するわけにはいかない。絶えず警戒心をもって相場の成り行きを見ているという以外に為替政策は取りようがない」と述べ、現在の水準を容認する姿勢を示した。
塩川財務相の発言を受けて、東京市場で円買いが進み、欧州時間帯に入っても介入が実施されなかったことから、円高の流れが加速した。円はニューヨーク時間の早い時間に1ドル=120円80銭まで急伸、昨年11月13日以来の高値を付けた。
「塩川財務相の発言が円買いのきっかけになった。円は欧州勢とみられる買いでユーロに対し急伸し、同時に対ドルでも値を上げた」(みずほコーポレート銀行カスタマーグループ、八巻恵太バイスプレジデント) という。円は過去3営業日で対ユーロに対し1.5%下落、対ドルでは0.6%上昇していた。
午後に入ってからは、週明けにも円売り介入が実施されるとの警戒感が台頭、1ドル=121円台前半でのもみ合いとなった。円・ユーロ相場は午前中に、1ユーロ=117円25銭前後まで上昇した後、117円台後半のもみ合いとなった。
ドル・ユーロ急落
ドルは今週、対ユーロで約2.5%下落し、週間下げ率としては昨年8月以来最大を記録した。この日は一時1ユーロ=0.9719ドルと、2000年4月以来の安値をつけた。前日発表された4月の貿易統計によると、財とサービスを合わせた貿易赤字額は359億ドルと過去最高水準。市場では、米貿易赤字の拡大で米国以外の国からの米資本市場への投資で赤字分を穴埋めしきれずドル売り圧力が強まると懸念されている。
インディペンデント・インベストメントの欧州株式担当、カラスビストリッキ氏は、ドル下落について、「米国の投資家が対外投資を進める一方、欧州投資家がそれを上回るペースで米国外へ資金を移しているため」と指摘した。同社は欧州資産の為替リスクをヘッジしていないため、ドル安・ユーロ高が進行すると、為替差益が運用リターンにそのまま反映されるという。
米国株式市場では、不正会計問題の再燃や企業業績回復の遅れに対する懸念から3主要株価指数がそろって下落、ドル資産の信認低下に拍車をかけた。金融証券取引所(FINEX) が主要6通貨を対象に算出しているドル・インデックスは、前日比0.89ポイント(0.8%)安の108.05。