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5200億円に上る金融支援を受け再建に道筋をつけたようにみえるダイエー<8263>だが、この日本経済の火薬庫ともいえるダイエーが抱える問題の火種が再びくすぶり出している。
●とりあえずの「好調」・・・
ダイエーは再建計画発表以来、急ピッチで既存店を独自開発の専門店を集積した業態「カテゴリー・バリュー・センター(CVC)」に衣替えしている。このCVC業態の可否は別にして、いわば改装の効果が表面化してか今年3、4月の既存店売上高は前年を並みを維持した。しかも5月は前年実績を2%上回り8カ月ぶりの前年比プラスに転じるという快挙も成し遂げた。
しかし、5月の予算上の既存店売上高の前年比は6%増。実態とのかい離は大きく、CVCの有力専門店の一部と位置付けていた「ユニクロ」を模写した「PAS(パス)」や、スーパードラッグの苦戦が伝えられている。改装効果がはげ落ちた後を考えると、ダイエーの再建状況は決して手放しで評価できない。
●分水嶺は2003年3月期本決算
ダイエーの再建については、金融機関も取引先も資産の切り売りによる財務の改革だけでなく、本業の回復度合いをバロメーターにしている。当面は8月の中間決算、さらに2003年2月期の本決算がダイエー再建の分水嶺だ。
仮に計画通りの改善が見られないようだと、またぞろ主力3行のUFJ<8307>、みずほ<8305>、三井住友<8318>以外の中・下位行によるダイエー批判、昨年下期のような取引先による取引条件見直しの声が噴出しかねない状況だ。
●共通点多い「米ウォルマートと提携」以前の西友
米ウォルマート・ストアーズと提携して200円台で低迷していた西友<8268>の株価が500円以上に跳ね上がったのと対照的に、ダイエーの株価は100円を挟んだ展開が続いている。5000億円以上の金融支援がついたからといっても独自再建を目指すダイエーは既存店の改善、本業の回復がカギ。それが見極めにくい状況のなかで投資家も買えないのは確かだ。だが、そのダイエーの株価が久々に商いを伴って動いたのは6月19日。終値は前日比13円高の106円。一部マスコミは5月の既存店売上高が前年比2%増となったことなどを好感した上げと指摘した。しかし、実はこの株価の上昇は、株価を押し上げる別の材料が潜行して動いているからだ。「ダイエーはなにかサプライズがないと持たない。下期、早い時期になにかなければ」(政府筋)。金融庁、経済産業省ではいま、「水面下でダイエーと国内外企業との提携を模索している」といわれるのがそれだ。昨年、金融支援とセットで検討されてきたシナリオが復活した形だ。
思えば西友もそうだった。2000年、2000億円の債券放棄を第一勧業銀行を中心とする銀行団から受けた後、鳴かず飛ばずの状態を救ったのはウォルマートだった。西友もいまだ多額の不良債権を持つ金融子会社、東京シティファイナンスを抱え、その処理の先行きはみえないにもかかわらずウォルマートとの提携を発表した途端、株価が500円まで跳ねている。金融庁、経産省、主力3行はダイエーにもこの西友の成功体験を当てはめようとしているのか。
●一触即発の
UFJは2002年3月期、昨年発行したダイエー優先株の株式併合に伴って、540億円の減損処理を迫れた。ダイエー株価の低迷状態が続き債務の株式化(デット・エイクイティ・スワップ)で振り換わった株式を期末に時価評価したら―。主力行にとってもダイエーの火種は依然として消えていない火薬庫そのものなのである。
(山科 静)
・「流通ウオッチ」〜嵐の前の静けさ?ウォルマートめぐって虎視眈々
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200204/05/20020405130503_91.shtml
・「流通ウオッチ」〜ダイエー再建のカギ握る専務、焦点は既存店建て直し
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200203/25/20020325093021_30.shtml
・「流通ウオッチ」〜“ダイエー救済”という名の国家プロジェクト
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200203/01/20020301123016_29.shtml
・「金融再生最前線」〜それは総理の“ダイエーは潰すな”で始まった
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200201/17/20020117101513_29.shtml