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産業の空洞化ということが言われて久しい。この産業の空洞化の問題点とは何だろうか?
ところで、製品の原価は大きく分けて3つある。「材料費」「労務費」「経費」である。この3つにそれぞれ「直接費」「間接費」という二通りの概念があり、「直接材料費」「間接材料費」「直接労務費」「間接労務費」「直接経費」「間接経費」という6通りの概念がある。「間接費」は「製造間接費」と呼ばれることがある。
産業の空洞化には二つの側面があると思われる。
一つ目は、とりわけ「労務費」の圧縮で、人件費の安い海外に工場等を移転し、そこで生産をすることである。その結果、労務費が削減され、製品の低廉化、所謂「価格破壊」をもたらす。
また、「経費」なども、東南アジアのほうが、日本よりも安いということもある。そして為替の関係(通貨の強さ)もあるだろう。
二つ目は、一つ目の反射的効果であるが、海外への技術移転である。これは、いくら価格が安くても「安かろう、悪かろう」では製品は売れないので、品質も高くなければならない。ということで、日本が世界に誇る製造業の技術を、現地の人に惜しみなく提供する。その結果、「Made in China」「Made in Taiwan」等の製品で、品質のよいものが出来上がる。
それと、いくら現地で安く製品を作っても、日本まで輸送するまでにコストがかかってしまっては、意味がない。すなわち、
外地で製造した製品の総原価<国内で製造した製品の総原価
でなければ、外地で製造し、日本で販売・流通させるという戦略はとらないだろう。もし、
外地で製造した製品の総原価>国内で製造した製品の総原価
であれば、わざわざ外地で製造せずとも、国内で製造することの方が、合理的行動になるからだ。
私が、将来を想像したときに憂いているのは、二つ目にあげた点である。技術移転をしたはいいが、ある程度、その国が技術力をつけたときに、日本はそれらの国々よりも技術力があるのかということだ。
もちろん、日本の技術力はすばらしい、例えば、真空管はアメリカでできたものだが、それをムカデ状の半導体のLSI(大規模集積回路)にしたのは、日本である。しかし、これと同じことが、日本とアジア諸国でおきるのではないかという懸念がある。
すなわち 真空管⇒アメリカが開発⇒日本が改良⇒LSI が
ある技術⇒日本が発明⇒中国が改良⇒更によいもの
となってしまうのではないか?
もちろん、日本も日々精進し、アジア諸国に負けないような技術力をつければよいのであるが、昔の言葉に「青は藍より出も、藍より青し」という言葉がある。わざわざ、他の国に自国の技術(手の内)を開陳する必要はないのではないか?
それに、アジア諸国とて日本の為に、日本企業の進出をさせているのではなかろう。各国の利益のためである。そこは、認識すべきなのではないか?