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法人税制改革は、税率の引き下げと外形標準課税の2点を中心に議論されている。株投資には無縁だ、などとタカをくくっていると大変なことになる。特に法人税は配当の原資となる最終利益に直接響くだけに、改革で影響を受ける銘柄が続出することもすでに予想されている。
●税制改革は必然に
現在の実効税率は4割強。利益を上げても企業の懐に残るのは半分ちょっと。内部留保や投資家への配当は、ここから振り分けられる。ただ、税率が高いとはいえ、法人事業税を納めていない企業が多いのも事実だ。たとえば、好景気に沸き立った1989年度でさえ、日本の法人で法人事業税を納めたのはわずか50%ほど。近年は約250万社の法人のうち7割が赤字法人だ。赤字企業は所得にかかる法人事業税を払っていないため、投資が利益を生む限られた黒字企業の負担が重くなるのは必然といえる。
●トヨタより任天堂にメリットの試算も
法人減税が実現して外形標準課税が導入されれば、支払い税額が多く、外形標準課税の対象になりそうな従業員給与や少額資本の企業ほど有利になる。ある外資系証券が顧客向けに配布したリポートでは、「(あくまでも)試算のひとつ」と前置きした上で、任天堂<7974>やスクウェア<9620>で4割超、富士写真フィルム<4901>や武田薬品工業<4502>、エイベックス<7860>などで3割台の事業税負担の軽減が予想できるとしている。巨額の利益を上げ、支払い税額日本一のトヨタ自動車<7203>は3割弱の税率カットが見込まれるという。
●TOPIXにはプラス要因
一方で税制改正がマイナスに作用する銘柄も出てきそうだ。赤字経営が続き法人税どころではない企業のうち、図体の大きいところが受難するとイメージできそうだ。先のリポートでは、三菱化学<4010>や丸紅<8002>、西友<8268>、東急不動産<8815>をはじめ空運、素材、不動産などが候補として挙げられており、株価3ケタの中低位銘柄がずらりと並んでいる。「外形標準課税が導入されれば、法人税に鈍感だった赤字企業は存亡を賭けてスリム化に走り出す」と、好意的な解釈も聞かれるが、リストラ進展効果より支出増大によるマイナス面が先に株価に織り込まれるのは確実だ。
相場全体では、株価が高く時価総額の大きい銘柄が買われ、もともと株価のぱっとしない銘柄が売られることになる。このため、個別銘柄の騰落状況では中立的にみえても、時価総額で算出するTOPIXは上昇が予想されそうだ。
(半沢 昭悟)