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「上げに不思議な上げあり、下げに不思議な下げなし」といわれている。日本株のことではない。米国株である。こうも連日の下げで揺さぶられると、何かあるのではないか、未知な何かが起こっているのではないかと薄気味悪くなる。心配が先に立って腰が引けて売り先行となってしまう。しかし、注意しなくてはならないのは、米国は痩せても枯れても世界の警察であり、基軸通貨国であり、「オレがルールだ」と言い切ってしまう国であり、「ノー」と言える国である。かつてのドルのタレ流しがそうであり、ドル交換停止、変動相場制がそうであった。何か自国に不都合なことがあったらドル紙幣を増刷すればいい、ルールを変えさせればすべてOKと考えているフシがある。
今月末のサミットで何が議論されるかは不明だが、この辺が自助努力不足を国際的に叩かれる三流国・日本との大きな違いである。そうだすると、米国の心配より日本問題の行方が株価的に重要となる。日本株の今後の方向は、日本サイドの足元をしっかり固め見直すところにこそ確認できるわけだ。その際、参考にしたいのは1999年3月以来となった今年の6月5日にかけての日経店頭平均株価の16日連騰である。3年3カ月ぶりの16日連騰、「個人投資家の反乱」から中期的な相場再構築の方向がうかがえる。
●株価1万円へのシナリオが市場席巻の条件
1999年相場は、日本の相場史上でも特異であった。多分、自然体で暴落相場が出直った初めてのケースであったはずだ。1997年に拓銀、山一証が破綻し、1998年に長銀、日債銀が潰れ市場では外国人投資家は日本売り、投信も事業法人も総悲観のなか、ひとり静かに店頭株買いに動いたのが個人投資家であった。日経店頭平均の連騰、店頭市場のボトムアップ、さらに相場再構築が「個人投資家の反乱」によって実現し、その回転の効いた資金がことの是非はともかくIT(情報通信)株に流れ込み、その後のITバブル相場を演出することになった。
膨大な待機資金が動き、買い気さえ戻れば相場は出直り、スケールアップすることの有力な裏付であり、今回の連騰にもその走りが垣間見えた。当然、勝ち癖をつけた個人投資家が次にどこに的を絞るかによって、どれだけの投資家を市場に呼び戻し、巻き込めるかが決まってくる。問題のIT株は、米国の動向がいまひとつつという懸念があり、代わるセクターには都市再開発関連、環境関連など候補が多い。しかし、ここでマークしておきたいのが薬品株だ。
というのは、かつてIT相場が市場を席巻できたのは1万円株が続出したからで、株価が1万円台に乗せなければ投資対象にならないとの極端な見方さえあった。いまこの1万円に最も近そうなのが、株価が3000円〜5000円台にある大手薬品株だからである。しかも、この4月には、厚生労働省が初めての産業ビジョンを策定し、業界再編、大型新薬によるグローバル化、政策支援などによる業界の飛躍を鼓吹したばかり。単なるディフェンシブ株ではなく、電機、自動車に次ぐ第3の輸出産業が将来像となる雄大なシナリオが描けそうだ。
●医療機器株も加わりスケールアップ
もちろん、輸出産業化に該当するのは武田薬品<4502>を筆頭にする大手薬品10社だけで、これでは間口が狭く、相場スケールは限定される。しかし、そこに医療関連機器で高い世界的シェアを持つオリンパス<7733>、シスメックス<6869>、日機装<6376>、日立メディコ<6910>などまで広がればバラエティに富み、今年の後半相場の有力な一角に浮上する可能性は強まってくる。
(相馬 太郎)