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裁判をするお金のない人に費用を援助する「民事法律扶助制度」の利用基準を満たしていながら、援助を受けられなかった人が昨年度、全国で約4000人に上ることが法律扶助協会(本部・東京)の推計で分かった。自己破産の急増で協会の財源が底をつき、初めて援助件数の上限を設けて利用を制限したためだ。同様の措置が取られる今年度は、約1万人に影響が出る見通しで、弱者救済の制度が危機に陥っている。
協会によると、民事法律扶助の柱となる「代理援助」(弁護士費用の立て替え)の昨年度の決定件数は2万9855件(前年度比49%増)、支出総額は約51億5467万円(同58%増)に達した。急増の原因は、長引く不況で裁判所への自己破産申し立てが増えているためで、昨年度は代理援助の約7割に当たる1万9854件を占めた。
協会の財源は、国や自治体からの補助金、過去に援助を受けた人からの償還(返還)金など。昨年度の国の補助金は28億円余で年々増加しているが、援助件数の急増には追いつかない状況だ。
このため、協会は1月、援助件数を年間約3万件に抑えることを決め、全国50の支部に上限枠を割り当てた。この影響で45の支部が、受け付けを中止したり、自己破産申し立てへの援助を生活保護受給者に限定するなど、決定基準を厳しくする措置を取った。
本来は(1)資力が乏しい(国民の所得階層の下から20%程度)(2)勝訴の見込みがある――などの基準を満たせば、法律扶助を受けられるが、利用制限のため、希望者のうち約4000人が援助を受けられなかったと協会は推計している。
大石哲夫事務局長は「要件を満たせばだれにでも平等に援助するという制度の趣旨がゆがめられており、極めて深刻な事態だが、資金がない以上、上限を設けざるを得ない」と話している 。【森本英彦】
民事法律扶助制度 裁判を受ける権利を保障するため、訴訟費用がない人に、弁護士費用などを立て替える制度。日本弁護士連合会が中心になって52年に設立した法律扶助協会が実施しており、00年施行の民事法律扶助法で、国も事業に責務を負うことになった。
( 2002-06-17-15:01 )