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「今年度に入って営業現場を窓口に、各種取引先に対し貸出金利の引き上げに関するアンケート調査を実施したのです。その調査結果は、『銀行側の言わんとしていることもわかるが、現実問題としては銀行の要請に対応することは難しい−−』と答えた取引先が全体の9割にも達していたのです−−」
“ビッグ4”の一角に名前を連ねる大手都銀の経営中枢幹部がこう言ってみせる。
そしてこう続ける。
「こうしたアンケート結果から判断しても、これから本格化するであろう“利上げ交渉”は、取引先の激しい抵抗にあって非常に難航するであろうことが予想されるのです」(前述の大手都銀経営中枢幹部)
前述の“ビッグ4”を筆頭とする大手銀行各行は、利ざやを改善させるため、取引先企業との間で個別交渉に入りつつあるのが実情だ。
ここで言う“利ざや”とは、「貸出金利マイナス調達金利」で求められる部分を指す。つまり単純に言えば、この“利ざや”に貸出金の総量を掛けあわせたものが、収益ということになる。
現時点における大手行各行の“利ざや”は、以下に示すような状況にあるのが実情だ。
UFJ銀行…1.65%、三井住友銀行…1.75%(いずれも平成14年3月期末)
この両行について言えば、行内的には年間で0.25%の利ざや改善を目標に置いているのである。
「つまり、“年間で0.25%の改善”というのが、大手行各行に課せられた目標値ということができるでしょう。15年3月までに最低でもこのラインを突破しなければ“負け組”への転落は必至の情勢です」(大手都銀経営中枢幹部)
三井住友銀行が試算したところによれば、こうした“利上げ交渉”の対象となる貸出金は、同行だけでトータルすると約25兆円に達するという。
「しかもこのうち約1兆円の貸出金が外部に流失するだろうという予想も出ているのです」(三井住友銀行幹部)
かなり厳しい試算結果が出てきたと言わざるを得ないが、「この“利ざや改善”を進めるということは、不良債権処理の原資を捻出するためにも、どうしても必要なことなのです。つまり、“利ざや改善”が出来なければ、不良債権処理にブレーキがかかることになる」(大手都銀経営中枢幹部)。
大手都銀頭取が言う。
「この利ざやの改善を進めていくと、“貸し渋り”あるいは“貸し剥がし”の批判が出てくることは必至でしょう、特に各行とも“利上げ交渉”の対象となる貸出先が中小企業に集中しているだけに、強烈な批判が出てくることは十分に予想される。しかし、批判が出たからと言って、われわれとしては“利上げ交渉”をやめるわけにはいかないのです」
それにしても本稿冒頭で示した“アンケート”の結果は、まさに衝撃的だ。
「われわれとしても、まさか九割の取引先から拒否反応が出てくるとは予想していなかった。これは思いの外、大変なことになるな、というのが素直な感想です」(前述の大手都銀経営中枢幹部)
こうした状況から判断して、大手都銀各行が進める“利上げ交渉”が政治問題化してくることは必至の情勢だろう。
果たして、各行は計画通りに利上げ交渉を進めることができるのだろうか。