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厚生労働省が2004年の次期年金制度改正で公的年金への課税強化を打ち出す方針を固めたのは、高齢者のための保険料を負担する「支え手」の現役世代に根強い世代間の不公平感を取り除くためだ。
もともと公的年金への課税は、政府・与党にとって長年の課題だ。
86年10月の政府税制調査会の答申は、受給者間で年金給付水準の格差が大きいにもかかわらず、年金であることを理由に多額の控除を設けることについて、「負担の公平の観点からみて問題なしとしない」と指摘、課税のあり方を見直す必要性を強調した。昨年3月にも、政府・与党の社会保障改革協議会が社会保障改革大綱で、課税の適正化や税制を検討することを明記した。
現行の年金給付水準を維持する場合、2025年度の厚生年金保険料を年収の4分の1にまで引き上げなければならない。従来の制度改正にみられる年金の給付削減と負担引き上げだけではなく、高齢者優遇との批判が多い公的年金等控除にもメスを入れることで、保険料の未納などにみられる「年金不信」を食い止めたいという側面もある。
課税強化は、実質的な年金給付水準の引き下げにつながることから、与党などには慎重論が根強くある。反面、高齢者の生活形態も、収入や資産の状況も多様化し、「『高齢者イコール弱者』との従来の定義を見直すべきだ」との指摘も少なくない。
次期制度改正では、画一的な見直しではなく、所得階層別の課税方法や激変緩和措置を講じるなど、国民に幅広く選択肢を示し、理解を求めていく必要がある。(政治部 古川 肇)
(6月15日14:32)