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みずほ銀行のシステム障害について、旧富士銀行出身の前田晃伸・みずほホールディングス社長は12日の衆院財務金融委員会で旧第一勧業銀行を名指しで批判、旧3行の縄張り争いの根深さを露呈する結果となった。たすきがけ人事の撤廃など遅ればせながら3行融和に取り組むみずほだが、責任論がこじれた場合、統合に亀裂が生じかねない危険性も出そうな気配だ。
「システム開発責任行のリスク認識が不十分だった」「現金自動預払機(ATM)障害は、第一勧銀のホストコンピューターを起点とし、外部接続を担うシステムのプログラムの不都合が原因」−。
いつもはっきりとしない答弁をする前田社長が、このときにかぎっては具体的に言明。メーンシステムの責任担当者だった旧一勧のシステム担当幹部が、障害発生の危険性を把握しながら、経営陣に意図的に情報を上げなかったことが原因と説明したのだ。
みずほは、システム担当役員を更迭して責任を明確にするとみられるが、この問題は旧一勧だけの責任でも、いわんや個人的な不祥事でもない。
旧3行は、縄張り争いの一方で、他行の担当分野については見て見ぬふりを続けてきたといわれる。旧一勧の地位低下を憂慮したシステム担当幹部が情報を隠蔽(いんぺい)していたためとしても、事実上、組織としてのチェック体制ができていなかったのだ。
経営統合に合意した時点でこうした事態は予測されていながら、結果的に利用者に大きな迷惑を引き起こしただけに、最大の責任は経営首脳にあることは言うまでもない。こうした中、前田社長がことさら旧一勧の責任を強調すれば、旧行意識がかえって再燃する恐れもある。
今回の不祥事を受け、みずほはリストラを2年前倒しで進める方針で、約3万人の一般行員は恒久的な賃下げを余儀なくされそうな気配。その一方で、前田社長ら経営トップ3人は、役員報酬の50%以上カットを打ち出したが、その期間は数カ月に限定されるとみられる。
また、役員数を削減するといっても、減らされるのは、経営トップ以外の役員で、「3行平等にカットするのではないか」(金融業界筋)と揶揄(やゆ)する声も。
さらに、旧3行の縄張り争いの最大の責任者だった西村正雄・旧日本興業銀行頭取、山本恵朗・旧富士銀行頭取、杉田力之・旧一勧頭取の前CEO(最高経営責任者)についても特別顧問を退任させ、数億円といわれる退職慰労金支払いを見送るとみられる。だが、「ほとぼりが冷めた来年以降の株主総会で、あらためて3人に対する退職金支払いが提案される可能性もある」(同)との指摘さえも出ているのだ。
新旧の経営トップと一般行員の間の不公平感が募れば、みずほ全体の士気の低下につながりかねない。
今後も前田社長ら現経営陣が引き続き指揮を執ることになりそうだが、はたして災い転じて福となるか。