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地銀、生保など大手機関投資家が出資する国内大手格付け会社の日本格付研究所(JCR)は12日、日本国債の格付けを最上級の「AAA」に据え置くものの、「景気が依然として不安定で、財政悪化の懸念も強いことや金融機関の不良債権問題の早期解決も見込みづらい」ことから、見通しを引き続き「ネガティブ(弱含み)」としたと発表した。
格付投資情報センターも昨年3月に「格付けの方向性は下向き」としている。JCRの今回の発表で、日本勢も国債信用力の先行きに対する不安感をあらためて示したことになる。98年以降、ムーディーズなど欧米の格付け会社が日本の国債の格付けを大幅に引き下げてきたが、日本の格付け会社は国債格付けを最上級に据え置いたままだ。日本国債の信用力は依然として高いと反発する政府の今後の対応が注目される。
「国内景気は底入れしつつある」
JCRは格付けを現行の「AAA」に据え置いた理由として「(同社が格付けを行った)2000年10月以降、景気のデフレ的傾向が強まり、財政の悪化、金融機関の不良債権増大などの深刻な状況が顕在化したが、財政赤字は民間部門の大幅な貯蓄超過によって支えられている」ことをまず、挙げた。
そのうえで、前回の格付け時点で、最上級の債券格付けを支える要因として、挙げた世界最大の外貨準備高、対外純資産、経常収支の黒字、製造業の国際競争力などを他国と比較した場合、日本経済のファンダメンタルズの強さに「大きな変化は生じておらず、最近は国内景気が底入れしつつあると見られる」ためとしている。
揺らぐ政府の反論
欧米系による相次ぐ格下げにより、米国に次ぐ世界第2位の経済大国である日本の格付けが、先進7カ国の中で最低となり、格付けのあり方に対する疑念が高まっている。
特に政府は、1)日本の対外債権残高は世界第1位、2)国債の消化も発行残高の95%程度が国内で行われている――などとして、ムーディーズなどによる格下げは「日本の実情を十分に理解しないで行っており、定量的にも根拠が不明確」などと強く反発していた。
しかし、日本の諸事情を十二分に理解しているものとみられる国内勢の大手がついに揃って見通しに「黄信号」を点したことで、政府のこうした反論の根拠が逆に、揺らぐ可能性も出てきた。
欧米系格付け会社3社に対しては、財務省が4月に、「格付けが日本経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)を考えると低過ぎ、さらなる格下げは根拠を欠く」などとして説明を求めていた。
ムーディーズ幹部を国会が質問攻め
また、12日には、衆院財務金融委員会がムーディーズ・インベスターズ・サービスのシニア・アナリスト、トーマス・バーン氏を参考人として招致し、国債格下げの理由を質した。
同委員会で、バーン氏は「日本政府の債務が持続可能でなくなってきた」などと格下げの理由を改めて説明した。一方で、日本の貯蓄率が高いことを指摘、デフォルト(債務不履行)になる可能性は低い」と指摘している。塩川正十郎財務相は「社債と国債の格付けは違う」などとバーン氏の発言に反論を加えていた。
ムーディーズは5月31日に日本国債を「Aa3」から「A2」に2段階引き下げた。また、4月16日に米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も「AA−(ダブルAマイナス)」に下げている。ムーディーズの「A2」は投資適格の10段階の上から6番目。S&Pの「AA−」は10段階の4番目。