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生損保2002年3月期決算〜大手生保15社「安心度ランキング」(エコノミスト6月18日特大号) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 6 月 11 日 21:05:05:

<徹底詳報>生損保2002年3月期決算〜大手生保15社「安心度ランキング」


1位 アメリカンファミリー
2位 アリコジャパン
3位 ソニー
主要10社では大同がトップ
日生は6位

編集部=平野純一・山口敦雄・中村 徹・黒澤善行・中村貴美江

エコノミスト編集部は、2002年3月期決算を基に、総資産上位15社の生保について独自の「安心度ランキング」調査を実施した。ランキング項目は「ソルベンシーマージン比率」「実質純資産比率」「有価証券含み率」「基礎利益率」「保有契約高伸び率」の五つで、それぞれに順位をつけて合計し、合計点が小さい会社を上位とする「総合順位」を出した(破綻会社やその受け皿会社は除く。アクサ生命とアクサグループライフ生命は合算し「アクサ生命グループ」として算出)。
その結果、総合順位ではアメリカンファミリーが1位、アリコジャパンが2位と外資系生保が上位2社。3位にソニーが入り、いわゆる「カタカナ生保」がベスト3を占めた。国内大手10社の「漢字生保」は、総資産では9位の大同生命が総合順位4位と健闘し、以下はプルデンシャルが5位、その後に日本生命、明治生命、第一生命など規模の大きい生保が続いた。
項目別では、ソルベンシーマージン比率、実質純資産比率、保有契約高伸び率の三つでカタカナ生保の4社が上位を占め、漢字生保がトップとなった項目はない。しかし、有価証券含み率では日本生命、明治生命、第一生命など老舗が底力を発揮した。
アクサ生命グループが15位だった背景には、アクサグループライフ生命が、経営不振に陥った旧日本団体生命の予定利率が高い契約を引き継いでいることがある。一方で、世界最大級の生保会社アクサグループ(仏)が資本注入しており、格付け会社はそれを評価して高い格付けをしている。
生保の経営環境は年々厳しくなっている。ランキングの項目にもある保有契約高伸び率(1998年3月期と比較)は15社中9社がマイナス。大手10社計でみると、5年連続で保有契約高が減少した。また、大手10社のうち日本生命、第一生命、安田生命を除く7社が、資産価値の減少を埋めるため、価格変動準備金(株価など価格変動が大きな資産の下落に備えるもの)と危険準備金(大災害など予期できない保険リスクや低金利による逆ざやに備えるもの)の残高を減らして対応せざるをえなかった。特に朝日生命と三井生命は、価格変動準備金をすべて取り崩し、さらに危険準備金も大幅に取り崩したが、その中では目的外の危険準備金1号(大災害など予期できない保険リスク)にも手をつけたとされる。
株価の低迷は確実に生保の体力を奪っている。「今回の決算を乗り越えられたのは、空売り規制で3月末の株価が戻ったから」と、ある生保関係者は言う。
大手10社のうち、三井生命、朝日生命、住友生命、安田生命、太陽生命の5社の「含み益がゼロになる株価水準」は、3月末の株価(1万1024円)を上回っている。さらに三井、朝日、住友の3社の同水準は、株価がやや上昇した現在(6月6日終値1万1574円)でも上回っており、今後もちょっとした株価下落が、生保経営に大きな打撃を与えかねないことがうかがえる。
04年4月には、明治生命と安田生命が合併、大同生命と太陽生命も持ち株会社化による統合を予定。朝日生命はミレアグループ入りを予定しているが、今後、まだ紆余曲折も十分予測される。業界は確実に縮小かつ流動化している。
なお、このランキングは定量分析に基づいたものであり、定性分析も加味した格付け会社の格付けなどとは性格が異なる。このランキングと合わせて、格付け会社の格付け、92ページから始まる各社決算表と一緒に掲載してあるコメントなどを読まれることをお勧めする。
ランキングの基となった五つの項目の解説は以下の通り。

[ソルベンシーマージン比率]大災害や株価暴落など不測の事態が起きても契約通りに保険金を支払う余力があるかどうかを測る指数で、200%を割ると、金融当局の業務改善命令の対象となる。この比率は高ければ高いほど経営が安定していると言えるが、逆にあまり高すぎると契約者に適正な利益還元をしていないということにもなる。一般的には400〜500%以上あるのがよいとされている。

[実質純資産比率]時価ベースの資産から実質的な負債(将来の保険金支払いに備えて積み立てる「責任準備金」が中心)を差し引いたものが実質純資産で、これを各社を比較する観点から一般勘定資産で割った。基本的には数値が高いほど健全性が高い。

[有価証券含み率]有価証券の含み益は配当の原資になったり、不良債権処理などに使われる。この含み益を帳簿価額で割ったものが、有価証券含み率となる。一般的にはある程度の含み益を持っている方が余裕を持った経営ができ、含み率がマイナス(含み損)になると、経営の余裕がなくなる。

[基礎利益率]01年3月期決算から公表され、保険本業でのもうけを示す。保険料等収入と利息・配当金を合わせた「本業の収入」から責任準備金を積み、保険金の支払いや事業費などを引いたものになる。基礎利益は、死差益(想定死亡率と実際との差で生じる差益)、費差益(予定した費用と実際との差で生じる差益)、利差益(予定利率と運用利回りとの差で生じる差益)の合計とほぼ等しくなるとされる。基礎利益率は、実質純資産比率と同じく、各社を比較する観点から一般勘定資産で割った。

[保有契約高の伸び率]収益の源となる保有契約高の増減を見ている。前年比で出すと、新商品の有無で数値にブレが生じるため、4年前の98年3月期との増減率を出し、各社を比較した。

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