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【ワシントン竹川正記】
米国で金融機関破たん時の預金払い戻し保証額(現行10万ドル)をめぐり、引き上げを求める議会側と、反対する政府・米連邦準備制度理事会(FRB)の対立が深まっている。議会の動きは、中間選挙を意識したものだが、議論の行方は来年4月に普通預金なども含めた「ペイオフ凍結の全面解除」を控える日本に影響する可能性がある。
米議会下院は5月22日、預金の払い戻し保証限度を13万ドル(約1625万円)に引き上げる内容の法案を圧倒的多数で可決した。法案は、インフレ率に連動し限度額を将来に渡って引き上げできる仕組みになっているうえ、年金生活者は26万ドルまで保証する内容。地元選挙区に抱える中小金融機関の意向を色濃く反映した内容だ。
これに対し、グリーンスパンFRB議長は議会証言で「経営のモラルハザード(倫理の欠如)を招き、かえって金融システムを不健全化にする」と反対を表明し、ブッシュ政権も大統領拒否権の行使を示唆している。
さらに米議会予算局は問題の法案が採用された場合、金融機関の預金保険料負担が今後10年間で35億ドル(約4375億円)拡大し、「その分は預金利率引き下げなど預金者の負担増に転嫁される」との試算を発表し、議会に慎重な審議を求めた。
日本では、相沢英之・自民党税制調査会長が03年4月のペイオフ凍結の完全解除の延期に言及している。今後、「公的資金の補助を前提にした保護額(現行1000万円)の引き上げ論が日本でも起こる可能性がある」(日本の金融当局筋)だけに、米国の動向が注目される。