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「全く予期しなかったところから、信金中央金庫(信金中金)の信金業界に対する支援の実態が明らかにされてしまったと言えるだろう。信金中金サイドとしても、そうした事態に思わず当惑しているのではないだろうか」
都内に本店を置く信用金庫の理事長がこう言ってみせる。
このコメントに登場する“信金中央金庫(信金中金)”とは、全国の信用金庫にとって「親銀行」とでも言うべき存在だ。
「各信金にとっての“日本銀行”とでも言えばわかりやすいのではないでしょうか。信金中金は各信金との間で、預金および貸金取引を行うことによって、信金の余裕資金の効率的な運用や信金間の資金の需給調整を図ることがそもそもの主業務とされてきました。もっともここ近年以外にも、各信金に対してはさまざまな形でバックアップ体制をとっているのが実情です」(大手信金役員)
去る5月23日、その信金中金が2001年度決算を発表した。そしてこの決算発表で明らかになった項目の一部が、信金業界にちょっとしたハレーションを起こしてしまったのである。
「この決算発表によって、信金中金が複数の信金に対して2001年度中にトータルで約487億円の資本注入を実施していたことが明らかになってしまったのです。そうしたところから、一体どこの信金が信金中金から支援を受けたのか、ということが信金業界内で話題になってしまったのです。場合によっては、資本注入を受けた信金=危ない信金、という単純な図式が一人歩きしかねないため、業界としてはまさに戦々恐々といったところですよ」(前述の信金理事長)
この信金理事長によれば、「トータルで12の信金が資本注入を受けた、ということのようだが…」。
これに対し信金中金サイドは、「一部業界紙が“12信金”と書いてしまったためそうした説が流布しているようだが、それは誤りです。しかし、資本注入を受けた信金数および個別信金名については、風評リスクがあるため公表できない」(信金中金広報室)とし、この一件に関しては極めてナイーブな対応をとっている。
「信金中金としては、平成12年度までに劣後ローンなどの形で累計で826億円の資本増強支援を実施していますから、資本支援額はトータルで1315億円に達しています」(前述同)
実際に資本注入を受けた信金首脳によれば、「来年4月1日に“ペイオフ完全解禁”を迎える中で、預金者の動向は極めて神経質になっていると言っていいでしょう。そうした中、健全度を測る尺度として注目されているのはなんと言っても自己資本比率です。われわれ信用金庫は4%ラインをクリアしていれば法的には問題ないのですが、やはり最低でも6%ラインをクリアしなければ、預金者は納得してくれません。その不足分を信金中金からの資本注入によって補っているのです」
本稿としても風評リスクの発生については、最大限慎重でありたいと思っている。
しかし、もはや会員組織から公的機関に脱皮した信金の資本内容がキチンと開示されないという点には釈然としないものが残るのは事実だ。
風評リスクとディスクロージャーのバランスをとることは極めて難しい、と言わざるを得ない。