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「実は、ムーディーズ社サイドは当初、我々財務省との一連のやりとりについて、“非公開”の形で行いたいと申し入れてきていたのです。もっとも、我々としては、そうした申し入れについては全く無視しましたが…」
財務省幹部がこう言ってみせる。
先週末の金曜日(5月31日)、米系大手格付会社のムーディーズ・インベスターズ・サービス(ムーディーズ社)が、日本政府が発行する円建て国債の格付けを2段階引き下げると発表した。
この結果、日本国債の格付けは、最上級(Aaa=トリプルA)から数えて六番目に相当する“A2”(シングルA)にまで下落した。このランキングは、主要7カ国中ではダントツの最下位−−主要7カ国中第6位のイタリアよりも3ランク下−−となり、イスラエル、南アフリカ、ポーランドと並んだ。
とはいえ、ムーディーズ社は、前述した格下げ後の日本国債の格付けについて「安定的」として、今後しばらくの格付け変更は無い、とした。
「今回の“格下げ”について、我々としては全く納得していない。しかも不思議なことに、ムーディーズ社の今回の格下げに関する“発表文”には、なぜ日本国債の債務不履行リスク(デフォルトリスク)が高いのか、その理由が全く記載されていない。つまり言ってみれば、“理由なき格下げ”ということに他ならない」(前述の財務省幹部)
一部論調に、「ムーディーズ社は、今回の格下げに際して財務省、ひいては日本サイドに相当な配慮をした−−」というものがある。しかしそうした“論調”は、はっきり言って間違いだ。
ムーディーズ社は、今回の格下げを行うにあたって、相当苦しいところまで追い詰められていたと言っていいだろう。
ムーディーズ社が今年2月に「財政と経済の悪化が続くならば、格付けの変更ペースの加速もあり得る」という内容の見解を公表していた段階と、今回格下げに踏み切った段階では、ムーディーズ社の置かれた状況は全く異なっていることは間違いない。
財務省はこれまでに2回にわたって、ムーディーズ本社に対して「意見書」を送っている。
「そもそも自国通貨建て国債がデフォルトするということは、いったいどのような状況を指すのか。われわれの疑問はその1点に尽きる−」(財務省幹部)
実を言うと、ムーディーズ社はこうした“疑問に”明確な形で答えていないのが実情なのだ。
「ムーディーズ社が格下げに対して発表した公式コメントにも、なぜ格下げになったのか、その理由がほとんど書かれていない。ムーディーズ社は正面切っての論争を明らかに回避したのです−」(財務省幹部)
ムーディーズ社のこうした動きが、まさに「敵前逃亡」的なものであることは、本稿冒頭のコメントからも明らかだろう。
「国債に対するムーディーズ社の格付けは、だれに対してもその結果責任を負わない、いわゆる“勝手格付け”にすぎない。その程度のものに対して日本政府−ひいては財務省は大騒ぎしすぎだ。当のムーディーズ社は当惑しているのではないか」(米系大手証券会社首脳)