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日産自動車の株価が一時1,000円の大台を突破しました。2期連続の過去最高益達成やマーチのヒットなど良いニュースが多いですが、今後株価はどうなる?
先月、日産自動車の株価が12年ぶりに1,000円の大台にのりました。ルノーと資本提携した99年3月の株価が400円台であったことを考えると2倍以上の上昇です。カルロス・ゴーン社長が進めてきた「日産リバイバルプラン」を1年前倒しで実現し、2期連続で過去最高益を達成したことが評価されているようです。
一方で、5月30日の日本経済新聞に「自動車部品 系列で浮沈」「ホンダ系最高益相次ぐ、日産系値下げ要求重く」という見出しの記事が掲載されています。
2002年3月の決算について、ホンダ系の部品メーカーであるショーワやケーヒンがともに過去最高益を更新したのに対し、日産系は最大手のカルソニックカンセイこそ2%の増益になりましたが、エンジン、駆動系部品のユニシアジェックスは43%減益、内装部品の河西工業は34%減益、モーターの自動車電機工業は赤字と、軒並み大幅減益になったようです。
ホンダの新車販売が好調であったこともありますが、下請けを育て共存共栄を図ろうとするホンダに対し、日産はゴーン社長のもと、コストを重視し系列にこだわらない調達に踏み切った結果が如実に表れています。
日産の今期の最高益はこういったコスト削減効果がもたらしたもので、下請け企業が確保していた利益を日産が吸収している図式が見て取れます。特に、前期は日産の売上自体が伸び悩んでいましたので、下請けの企業も数量が伸び悩む中でのコストダウン要求という苦しい状況となったと考えられます。記事によると、下請企業の一部からは「これ以上、日産が無理な価格を要求するならば受注を逃しても仕方がない」との声もでており、日産にとって部品の安定的納入に支障をきたす可能性も否定できません。
日産にとっては、やはり今後の販売が伸びていくかがポイントになると思います。販売が伸びていけば日産自体の収益がアップすることはもちろん、部品メーカーも量産効果によるコストダウンを図ることができます。
この点、今年3月に販売開始したマーチの受注が1週間で25,000台と月間目標8,000台の3倍以上になり、大ヒットを記録したホンダのフィット(販売開始後10日で23,000台)をも上回りました。さらに3週間で40,000台とその後も順調に伸びており、今期の売上増加に大きく貢献しそうです。
最後に、日産株式への投資にあたってもう一つ注意すべき点があります。平成14年3月期に利益自体は過去最高益を更新したものの、実は一株利益は減少している点です。これは、仏ルノーのワラント行使によって日産の発行済株式数が増加したためですが、トヨタが積極的な自己株買いにより発行済株式数を減らしているのと対照的です。
投資の意思決定をするにあたっては、販売状況や利益金額をチェックすることも重要ですが、こういった指標にも注意し、総合的に判断すべきであると思います。
小石川 宏
提供:株式会社FP総研