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外国人投資家の積極的な日本株買いが続いている。４月第３週（１５日―１９日）からの買い越し額は、すでに１兆０４７０億円に達した。しかし、買いの主体は、米ミューチュアル・ファンドから、米系ヘッジファンドと欧州ファンドにシフトし、買いの勢いも鈍化傾向にある、と市場関係者はみている。
東証が３０日に発表した５月第４週（２０日―２４日）の主体別売買動向によると、外国人は３９６７億円の買い越しとなり、４月第３週（１５日―１９日）から６週連続の買い越しとなった。買い越し額は１兆０４７０億円に達し、昨年５月以降で最大、最長の買い越しとなる。
外国人投資家は一度方針を固めると、継続的に買い越す習性が過去のデータからみてとれる。ＩＮＧ証券の集計によると、２００１年３月から５月にかけては、景気対策と小泉政権に対する期待感から、１０週連続で買い越し、合計額は２兆３０００億円を記録。９９年の景気回復局面では、外国人の買い越しの持続期間は９カ月（途中の１週売り越し）、合計額は７兆２０００億円にも達した。
このデータからみれば、外国人の買いは、まだ道半ばと判断することもできるが、今回は微妙に状況の変化がうかがえる。外資系証券１２社経由の寄り前の注文は、２３日、２４日と２０００万株を超える買い越しが続いたが、２７日以降は売り越しと小幅の買い越しを繰り返すような状況にある。
ある銀行系証券の売買担当者は、「２３日には米系ミューチュアル・ファンドの買いが殺到した。しかし、そこがバイイング・クライマックスだった。２４日以降の買い主体は、為替を絡めた米系ヘッジファンドだ」と語る。また、「ここにきてドイツ、スイス、イギリスの機関投資家がＥＴＦ（上場投信）やＪ−ＲＥＩＴ（不動産投信）、さらにミクロ分析をもとにした個別銘柄の買いを急いでいる。ミューチュアル・ファンドはヤマを超えた」（外資系証券日本株営業担当者）との声も聞かれる。
米ミューチュアル・ファンドは、４０１Ｋ（確定拠出年金）が対日投資する場合の重要な手段として知られ、外国人投資家のなかでも最大の買い主体だ。買い主体が移り変わることで、全体としてみた外国人の日本株投資が鈍化する懸念もある。
ウエストＬＢ証券のフィアクラ・マッキャナ調査部長は、「日本の金融システムや為替変動リスクを考えると、たしかにミューチュアル・ファンドのようなマクロベースの投資主体は、これ以上買い増しにくい。一方、ヘッジファンドの買いは、銀行株や内需関連株に限定されている。買いが続いたとしても今後１―２カ月だろう。欧州ファンドの買いも長続きするとは考えにくい」とし、外国人買いの持続性に否定的だ。
メリルリンチ日本証券の永吉勇人ストラテジストも、「いまの日本株買いは極端な米国経済悲観論の裏返し。いずれ修正はある」とし、外国人買いの転機を示唆する。しかし、永吉氏は、「依然、日本株をアンダーウエートとしている海外投資家が多く、ウエート調整的な買いはしばらく続く。程度の差はあるが、７月ごろまで外国人は買い越しになるだろう」とみている。また、「米Ｓ＆Ｐ５００に対して出遅れていたＭＳＣＩ・ＥＡＦＥ（欧州、オーストラリア、日本など米国以外の主要市場の指数）が急速に差を縮めている。国際運用の担当者としては、日本株を持たざるリスクも出始めている。６月のサミットまでは買いが継続するのではないか」（東海東京調査センター・水谷秀夫投資情報部長）との声もある。
では、今後の外国人投資家は何を買うのか。センチュリー証券の井田守彦ストラテジストは、「これから日本株を買う外国人投資家は、クオンツ的な手法で出遅れ銘柄を選択するはずだ。昨年９月以降、８カ月も上げ続けた輸出関連株を敬遠して、食品、銀行、建設、証券、不動産、通信など今年２月に底入れして上昇を開始した出遅れセクターを買うだろう」とみている。
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