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株式相場に新たな動きが表面化している。仕手株の急速な台頭だ。その象徴が5月29日の丸善<8236>。株価は29円高にハネ上げ、出来高も1030万株(28日は71万株)と爆発的に膨らんだ。「とくに、これといった強気材料が突然、出たわけでもないのに・・・」―市場関係者も首をかしげる。丸善ほどではないにしても、こうした状況変化は、29日、好人気を集めたコスモ石油<5007>、日本バルカー<7995>、住友金属鉱山<5713>にも当てはまる。
●企業実態は「買いの口実」
かつて大物相場師Kが暗躍したこともある仕手株・丸善。今3月期(2003年3月期)業績は回復する見通しだ。コスモ石油は今期の連結営業利益76%増という急回復予想を28日の決算発表時に打ち出したほか、日本バルカーは受注好調、住友鉱が海外金市況の高騰など関心をひきつけるそれなりの材料はある。だが、純相場的にみれば、いずれも「株高の口実材料」といった色彩が濃厚だ。
というのも、丸善を筆頭とするこうした低位の仕手系銘柄は、相場が手詰まり状態に陥ったとき、それを突破する役回りを託されて浮上するケースが多いからだ。「困ったときの仕手株」である。
●「景気底入れ宣言」にも不信感
5月中旬以降に弾みがついたドル安・円高の進行で、輸出型ハイテク株の上値を買い進むことが難しくなり、かと言って対極にある内需株にも力が入らない。政府が17日に「景気底入れ」宣言を出したにもかかわらず、上場企業の経営者は「底入れしたという感触はまだない」(奥田碩トヨタ自動車会長)との見方が圧倒的だ。買うものがない・・・。そこで狙い撃ちされているのが今回の仕手株群といえる。
ただし、株価変動と需給が最大の注目ポイントである仕手株は、前述したように企業業績など実態材料は事実上、買いの「口実」、ないしは「付け足し」に過ぎない。ざっくり言えば、仕手株は「株価の動き」そのものが最大の材料なのだ。
それだけに、人気がいったん下火になると、株価を支える“突っかい棒”がない分、あっという間に下げてしまうのが通例。また、仕手株の台頭は「物色銘柄の質的劣化」を意味し、過去、全体相場が波乱に向かう前触れになるケースが多かった。ここからは、くれぐれも機敏な対応が必要になりそう。
●注目される6月7日のGDP統計
もうひとつ気になるのが景気統計である。29日朝に発表された4月の鉱工業生産指数は前月比0.2%増と、それまでの市場のコンセンサスだった同0.9%増を下回った。同日の株式市場が調整色を強めるひとつのキッカケになったが、それでもマクロ経済(景気)を注視するエコノミストの間では「当面、強気の景気統計の発表が続く」との声が広がっている。
6月4日に公表される4月の景気動向指数は、景気先行・一致指数ともに景気陽転を示唆する「50%」越えの数字が打ち出される可能性が高い。
それ以上に注目されるのが、6月7日発表の1〜3月期のGDP(国内総生産)統計だ。ドレスナー・クラインオート・ワッサ―スタイン証券では「前期比年率7.5%程度の高成長が確認されそう。日本の景気回復期待が一段と強まる公算が大きい」という。
●「好材料出尽くし」には要注意
だが、5月17〜27日にかけて株式市場が連日、出来高10億株台前後という大商いを記録し、日経平均も27日に1万2000円台に突っかけたのは、まさにそうした景気指標を先取りしたもの。
6月7日のGDP発表を契機に、市場ムードが再び強気に転換する場面があっても、目端の利くヘッジファンドはむしろそこで材料が出尽くす、つまり格好の利食い場とみて売りをぶつけてくることも考えられる。
そうしたリスクのない「守りのセクター」として、今からマークしておきたいのが薬品株。業績は好調、しかも株価の調整が進んでいる点は見逃せないポイントだ。
(楠 英司)
・活況相場に「陰の主役」!?〜“権威者”の利益急回復論で渇
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200205/23/20020523112004_05.shtml