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日本銀行の須田美矢子審議委員は29 日、松本市内で会見し、為替相場について「基本的に市場に任せるしかない。円安になれば、それをそのまま受け入れればよいと考えている」と述べた。
須田委員は「ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)に沿った為替相場といってもだれも分からないが、どう考えてもファンダメンタルズからみておかしいと皆が思えば、介入があると思う。人々が考えるファンダメンタルズから大きくかい離していない限り、市場に任せればよいと思う」と指摘した。
さらに「アジア諸国も、為替相場が市場で決まっている限り、クレームはつけないと思うし、彼らは、日本政府が円安に誘導しようとしていると思っているからこそ、クレームをつけている。為替相場が行き過ぎだと判断すれば、介入すればよいし、本当に行き過ぎているときは介入が効くと思う」と述べた。
手段なければインフレターゲット意味ない
須田委員は「金融システム安定の維持が一番大きな目標だ。デフレスパイラルに陥るようなことは是非とも避けたい。デフレスパイラルに陥ったようなときに、(金融政策で)何をやれば良いのかまだ分からないが、今後できることは何か常に考えているし、金融政策決定会合でも議論している」と語った。
インフレターゲットについては「ノーマルな状態であれば、説明責任の向上のため、1つの分かりやすい方法だし、常にそのことは考えている。しかし、インフレターゲットは実現しないと意味がないし、手段がないなかでは、『実現するため何でもやれ』ということに結びついてしまう」と指摘。
さらに「インフレターゲットは、もっと健全なものとして取り上げたい。手段がないのに目標を出しても意味がないし、やるときには、責任を持って採用すべきだ。(目標を達成できる)シナリオがみえてこないと(インフレターゲットの採用は)駄目だ」と述べた。
金利低下で短期市場の機能が低下
須田委員は、足元の金融調節について「3月末を越えて需要がなくなることを懸念していたが、日銀当座預金残高は意外と15兆円で行けている、というのが実感だ。ここまで金利が低下したことで、短期金融市場が機能しなくなり、日銀が代わりをせざるを得ず、今まで短期市場にあった残高が日銀当座預金に来ているのかもしれない」と指摘した。
そのうえで、「日銀当座預金残高が10−15兆円前後になるよう潤沢に資金を供給する」とした現在の金融調節方針について、「当座預金の残高と、緩和の度合いの間に、1対1の関係が薄れている。何をもって緩和度を示すのかが難しくなっている」と述べた。
須田委員はまた「日銀当座預金の残高が少し増えたり減ったりしたからといって、一段と緩和したとか、引き締めたというふうには取らないでほしい。今は10−15兆円の目標が1つの緩和の度合いを示しているとみれば良い。緩和の度合いを15兆円、14兆円、13兆円と、ピンポイントで測ってほしくない」と述べた。