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きょう実施された2年国債の応札額は15兆0965億円となり、2年債入札では史上最高の応札額となった。利付国債の入札では、今月の30年債や10年債でも発行予定額に対して多額の応札がみられる傾向にあるが、市場筋によると、国債市場懇談会のメンバー選定基準が変わり、各年限の国債入札で高い落札シェアを確保しなければならないことが業者が応札額を多めに入れる背景になっているとの指摘がされている。次回のメンバー選定のために対象とされる国債入札は、4月債から9月債となっているが、9月末の決算期末が近づくと業者はリスクを取りにくくなるため、秋口にかけては応札額も通常並みに戻るのではないか、との見方も示されている。
市場筋によると、きょうの2年債入札では、国内証券1社が1兆円以上を落札したと見られ、多額の応札額の背景になったもよう。今月は、国債入札において、発行額に見合わない大口での応札が目立っている。
今月22日の10年債入札では、応札額が13兆4603億円と過去最高額となり、市場関係者の注目を浴びた。市場筋によると、10年債入札については価格競争入札において1社が割り当てられる限度額があるため、ある国内証券が大口の応札額をあらかじめ入れたという。また、30年債入札でも3000億円の発行額に対して1兆8288億円の応札額があり、大口で落札したとされる外資系証券に注目が集まった。
市場関係者によると、応札額が膨れあがる背景には、財務省が今年3月から導入した国債市場懇談会メンバーの新選定方式があるという。
メンバー選定の新方式では、各証券会社や銀行は、2002年4月債から9月債までの利付国債入札で、超長期債、長期債、中期債のくくりのなかで各1%以上の額を落札・引き受けることが必要。これに加えて、FBやTBなど短期債の発行総額のうち落札額が0.5%以上であるとの基準を満たさなければ、市場懇メンバーになれない。逆に基準を満たしたところであれば、何社・行でもメンバーになれる。
このため、「業者は、市場が比較的安定的に推移している上期に、できるだけ落札・引受け実績を作っておきたいと考える」(UFJキャピタルマーケッツ証券・シニアストラテジストの道家映二氏)という。
また、金利水準が低く比較的市場が安定的に推移しており、入札における最低落札価格が予想しやすい市場環境がそれを促しているという。「最低落札価格の落としどころが大体わかってしまうので、案分比率も低くなることが予想され、それを見越して多めに応札する動きもあるだろう」(道家氏)という。
特に、10年債は割当限度額が決まっているほか、入札価格が5銭刻みであるため、1銭刻みであるほかの年限の国債に比べて予想がしやすいため、応募額が高くなりやすいとの指摘もされている。
2年債入札での応札額の多さについては、ペイオフ対策として購入する投資家層が厚くなっているほか、直近の市場で景気回復への警戒感がくすぶっていたことから中期債から乗り換える向きもあったとの声が聞かれている。
市場筋によると、大量落札の例では、5月初めに実施された3カ月物FB(政府短期証券)入札で、「一部の外資系証券が案分比率を低く見すぎて過剰に落札してしまった」(国内金融機関)ことから、市場金利が一時的に上昇する場面があったといい、潜在的に読み違いのリスクも内包している。
ただ、「FBの場合は、利ざやがほとんどないなかで、応札額が数兆円規模になっていることがあるが、利付国債については価格変動リスクが大きく、業者も慎重に対応せざるを得ない」(上位都銀)と見られている。さらに、「9月末にかけては、中間決算を前に業者はリスクを取りにくくなる」(道家氏)とされ、秋口にかけては応札額も通常並みに戻る可能性も指摘されている。