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先に本欄で指摘したように、5月13日の週も海外投資家の日本株買い越しが継続、その規模は3200億円に達した。週間ベースとしては、空売り規制強化という特殊要因に伴う買い戻しが活発化、7700億円を記録した3月第2週に次ぐ今年2番目の規模だ。海外勢の買い越し基調継続で需給環境が好転しているのは間違いないが、意外なキーワードで好需給の循環が途切れる、との声が早くも出始めている。
●サミットまでは堅調
今回の海外勢の買いは、政府の景気底入れ宣言を手始めに、6月初旬発表予定の今年1〜3月期の実質国内総生産(GDP)の急回復期待が高まるなど、「米国経済の急回復見込みにかげりが出ていたタイミングで、誰も期待していなかった日本経済が予想外にしっかりしている」(米系運用会社)との認識が急速に広がったことがきっかけだ。
一連の動きは5月第4週までで「ほぼ一巡した」(同)もようだが、「6月下旬のサミットに向け、日本政府の政策出動やそれをほのめかす要人発言が相次ぐ可能性がある」(欧州系運用会社)とみる向きも多い。
米国株が更に調整色を強めるような場面では、「もう一段の日本株買いに動く腹積もりでいる」(同)向きが少なくないようだ。海外勢の間では「サミットまでは(日本株は)大丈夫」との共通認識ができ上がっているフシがある。
●「夏のボーナス」に着目
現状、日本株へのブル姿勢を強める海外勢だが、不良債権問題に解決の兆しがなく、外需依存度が高いままの日本経済への疑念は強く、素直に回復期待に乗っているわけではない。こうした中で、一部海外投資家が“利食い”のポイントとして着目し始めているのが、「夏のボーナス」だ。
あさひ銀総合研究所が出した今夏のボーナス予測は前年比2.4%減の46万4000円、みずほ証券の予測では同2.8%減の42万6000円。景気回復の兆しが見え始めた中で、いずれも「消費者心理の改善に悪影響が及ぶ可能性がある」と先行きの懸念材料となっている。
●再びけん引役不在に?
先に触れた1〜3月期のGDPは、外需が数値を押し上げるだけでなく、「単身世帯の消費が予想外に好調だったため、個人消費も大きく寄与することが確実」(銀行系証券エコノミスト)とも見られている。これが日本買いを強烈にけん引した側面があっただけに、「実際に支給された手取り額が目減りすれば、個人消費を冷やすのは間違いない」(先の欧州系)との見方につながっているわけだ。
海外勢が日本株の堅調相場を見越しているのはサミットまで。これ以降は、「企業業績の回復が株価に織り込まれ、政策面での後押し要因もなくなり、日本株はけん引役不在の状態となる可能性が高い」(先の欧州系運用会社)。そもそも今回の日本買いは、米国経済の変調に端を発した“後ろ向き”の投資行動だ。サミット以降、海外勢を引き止めておくような新規材料がなければ、「目減りした夏のボーナス」が思わぬ波乱要因に成りかねない。
(相場 英雄)
・海外投資家の“危険な”日本株シフト〜連続買い越しに潜むリスク
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200205/22/20020522105521_83.shtml