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またまた「官製相場」のようである。どこかあの3月危機を“空売り規制強化”で乗り切った2月の官製相場の繰り返しにみえてしまう。5月17日の内閣府の「景気底入れ宣言」を境に、相場は日々の出来高が連日10億株を超え、日経平均株価が再三にわたり1万2000円台へ突っかける様変わりの好転となっているからだ。かつて政府の景気判断や経済見通しが、これほど重用され、相場にインパクトを与えたことがあるか首をかしげてしまうのである。
特に不思議なのは、シビアで抜け目のない外国人投資家が素直に宣言を信じているらしいことで、円買いと日本株買いのその積極姿勢は、ほかに理由があるのではとさえ勘繰りたくなるほどだ。そして一部には、「株を買わずに円(為替)を買う」との見方も出ていることも確かなのである。となると、株価習性として円高時にはボトムアップする円高メリット株の電力株が静かに浮上してくる可能性も強まってこようというものである。
●高値圏のモミ合いと安値圏のモミ合いの違い
内閣府の月例経済報告は、読めば読むほど分かりにくい。今回打ち出された「底入れ宣言」もそうである。底入れと景気回復とはイコールと理解してもおかしくないのが普通だが、底入れと回復の間には、深くて大きな溝があるというのだ。しかも底入れ自体も、まだ雇用・所得環境や設備投資は厳しい状況にあるとカッコつきなのである。この今後の動向によっては底割れがあるとしたら、底入れでも何でもないことになるはずだ。
内閣府の前身の経済企画庁時代から、月例経済報告は「月例文学」と皮肉られ、微妙な言い回しや片言隻句のニュアンスが問題とされてきた。客観的でなくでなく主観的で、いわば趣味の世界に引き擦り込む常套手段であった。それは、財政出動を渋る旧大蔵省と積極財政を主張する現業官庁との確執の狭間で玉虫色の妥協を図る役所流の処世術でもあったのだ。だから今回、そうした事情を百も承知のはずの外国人投資家が、底入れ宣言を素直に信じて買い姿勢を高めているらしいのが、ますます腑に落ちなくなるのである。
積極姿勢は、米国の景気や株価の不透明化、テロ再発懸念などの裏返しとする見方がもっぱらだ。米国景気が鈍化すれば、外需主導型の日本の景気も影響を受けないはずがないが、要は両国の株価水準との相談なのである。米国はNYダウ1万ドル台の高値圏でのモミ合い、日本は日経平均1万円台の安値圏でのモミ合いであり、どちらが下値に乏しいかといえば自ずから明らかだ。これは為替(円)も同様であり、株と円を同時に買っているとの推測が成立することになる。
●前回の円高時は1000円幅のボトムアップ
となると、浮上してくるのは電力株である。前回の2001年4月から同9月までの円高局面では、為替は1ドル=126円台から116円台へ高騰している。この間、電力株は例えば東京電力<9501>が2月の2500円安値から7月の3430円高値まで1000円幅のボトムアップを演じている、当時の初動段階と同じ株価水準にあるだけに電力株の注目度は、円高メリット株として円高進行とともに高まる方向が有力となるわけだ。
(相馬 太郎)