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支持率逆転]「首相は実績で応えるしかない」
数字の上では、失望が期待を上回ることになった。
読売新聞の五月の世論調査で小泉内閣を「支持しない」とした人が、「支持する」と答えた人より多くなった。昨年四月の小泉政権発足以来、初めてのことだ。
世論の支持を、大きなよりどころとしてきた小泉首相にとっては、厳しい結果である。世論に迎合する必要はないが、政権に距離を置く国民が増えつつある理由を見極め、それを今後に生かしていかなければならない。
今年初めまで、70―80%という、かつてなく高い国民の支持が寄せられてきた理由は、首相への強い期待感にあった。「改革なくして成長なし」といった、歯切れのよいキャッチフレーズは、「何かしてくれる」との思いを増幅させた。
しかし、言葉が先行するだけで、中身が伴わなければ、いつしか期待が失(う)せてくるのも当然の帰結である。
上場企業の三月期決算では、不良債権の増加などで、業績不振となるところが相次いだ。雇用や年金など、先行きへの不安は、国民の財布の紐(ひも)を固くしたままであり、内需の柱である個人消費にも好転の兆しは見られない。
当面の最大の課題である経済で、成果を上げていないことに対し、国民は甘い評価を下さなかったと言ってよい。支持しない理由として、「見るべき実績がない」を挙げた人が最も多かったことも、それを裏付けている。
首相も、言葉だけの政治ではもはや通用しないことを銘記すべきである。そのうえで、政策に優先順位を付けるなどして、政権が何をなそうとしているのかを改めて明確にする必要がある。
経済では、今のデフレからどう脱却するのか、景気回復や活性化に向けた具体的なプログラムの提示が不可欠だ。
首相が力を入れてきた道路公団改革などでは、「首相が与党や官僚と妥協している」と見る人も少なくない。具体的な手順や段取りを国民に示し、改革への支持を得られるよう、指導力を発揮していくことが大事である。
自民党には、内閣支持率の低下や逆転を機に、首相主導から与党主導への転換をもくろむ動きがある。だが、二月以降の内閣支持率の低下と歩を合わせるように、自民党の支持率も低下傾向にある。足を引っ張るようでは、つけは自らに跳ね返ってくることにもなりかねない。
支持率が低下しながら、再び上昇に転じた中曽根内閣のケースもある。実績をあげることで、どこまで国民の支持を回復することができるか、小泉内閣の命運も、そこにかかっている。
(5月27日22:20)
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