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6月7日に内閣府が発表する1―3月期の国内総生産(GDP)速報値が大幅なプラス成長になるとの観測が強まっている。主な民間シンクタンクがまとめた予測は、前期比1・0―2・4%の高い伸びとなった。年率換算では4・1―9・8%、平均約8%で、急回復を果たしたアメリカの1―3月期の成長率5・6%を上回る勢いだ。しかし、日本経済が急回復を遂げたわけではなく、統計上の誤差が影響した見かけ上の数字と見る向きが多い。
◆景気底入れ
1―3月期の成長率が大幅なプラスになると予測されるのは、輸出の大幅な伸びと、これに伴う国内生産が増加したことが最大の要因だ。アメリカやアジアの景気回復が自動車や電気機械など日本からの輸出を増やし、日本の景気回復のけん引役となった。輸出は各シンクタンクとも7%前後の増加を期待している。
こうした動きを受け、政府は5月の月例経済報告で景気底入れを宣言した。民間エコノミストの間では、内閣府の景気動向指数を基に判定される「景気の谷」は1―3月期だったとの見方が一般的だ。
◆過大推計
1―3月期の景気が回復傾向にあるのは事実としても、統計上の理由から、その伸び率が過度に増幅される面もある。GDPの6割弱を占め、全体の数字に大きな影響を及ぼす個人消費は大幅なプラスが見込まれているが、実態は横ばい程度と見られている。予想される1―3月期の高い伸びは「実勢以上に上ぶれしている」(みずほ総合研究所)との指摘が多い。
GDP統計の基になる総務省の家計調査は、以前からサンプル数の少なさなどが問題となっており、「マクロ消費の基礎統計としてふさわしいか疑問」(大和証券SMBC)という声が上がっている。統計的な誤差により実態より強く出た1―3月期の家計調査の結果が、民間予測でも個人消費の過大推計を招いた形だ。
設備投資も、現時点ではカギとなる法人企業統計が未発表なため、民間の予測にはばらつきがあるが、2001年10―12月期に過去最大の減少幅であるマイナス12%を記録した後だけに、1―3月期は前期比で見ると反動増による押し上げ効果が働くことになる。
◆低い精度
GDPの値は、時間がたつにつれ「1次速報」「2次速報」「確報」と何回も改定され、その度に数値が動く。政府が経済政策を検討するうえで重要な判断材料になっているにもかかわらず、信頼性に欠けるのが実情だ。
第一生命経済研究所の川崎真一郎主任研究員は「ほかの統計から推計すると、1―3月期の実際の成長率は前期比0・8%ぐらいのプラスに過ぎない」と指摘している。
(5月26日22:34)