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03年度予算編成の財政健全化の目標として、政策的経費である一般歳出を前年度比で伸び率ゼロに抑える案が浮上してきた。関係者が25日、明らかにしたもので、02年度予算の「国債発行30兆円枠」で示した歳出抑制の精神を堅持しながら、デフレに拍車をかけないよう、財政と景気両にらみの予算とする考えだ。ただ、政府内には一般歳出を02年度以下にするように求める声も出ており、最終的には小泉純一郎首相の政治判断に委ねられそうだ。
一般歳出の「伸び率ゼロ」案の背景には、小泉内閣にとって今年最大の課題である税制改革を推進するうえで、国が税金を効率的に使うため歳出見直しに取り組んでいる姿勢を示すべきだ、との判断がある。
財務省は03年度予算を政策や制度を変更せずに“自然体”で編成した場合、一般歳出は02年度当初予算に比べ1兆5000億円増の49兆円に達する、と試算している。公共事業関係費は02年度と同額だが、社会保障関係費は高齢化の進展などで同9000億円増、政府開発援助(ODA)など「その他」を同6000億円増と見込んでいる。
このため、一般歳出の伸びを抑制するには、社会保障関係費の自然増の抑制と公共事業関係費などの削減がカギを握る。
社会保障関係費の抑制策として有力なのは年金の物価スライド制だが、これで減らせるのは1000億円強。物価スライドは02年度予算編成でも検討されたが実現しなかった経緯もあり、自然増を02年度並み(7000億円)に抑制するのは容易でない。
一方、公共事業関係費は、02年度予算で前年度比10%削減して財政構造改革の目玉の一つになったが、03年度予算でも社会保障関係費の増加分を吸収するため前年度比でどこまで削減できるかが焦点になる。ただ、02年度予算では01年度に計上した公共事業等予備費を計上しないことで3000億円を削減できたが、03年度は大きな金額を一気に削減する妙案はいまのところ見当たらない。
さらに、一般歳出を伸び率ゼロや02年度以下に抑制することには、景気配慮を優先すべきだとする自民党などから反発が出るのは必至。とくに、社会保障費の伸び抑制や公共事業の大幅カットには抵抗感が強く、首相の指導力が問われることになる。 【川俣友宏】
[毎日新聞5月26日] ( 2002-05-26-03:01 )