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昨今、政府とメディアは「景気底打ち」や景気上向きという発言や見通しを伝えているが、不可解なことに、それまでの日本経済がどういう状態にあったのかについてはまったくといいほど語られていない。
どういう経緯で現在に至ったかで、生産・在庫の動きから景況感までが違った色合いを帯びるのである。
景気が急激に落ち込む過程では、在庫の急増に伴い生産が調整され、在庫減らしが優先される。
景気の落ち込み度合いが縮小すれば、在庫と販売のバランスが改善され、生産が回復していく。
経営者が抱く景況感も、急激な落ち込みを経験した後でそれが穏やかになっていけば(とりわけ生産活動が回復すれば)、良くなったと感じるだろう。
2001年の暦年GDPは、マイナス2.1%という戦後これまでに経験したことがない落ち込みを見せたのである。
「ニューズウィーク日本版3・6」
「だが、10ヶ月たった(引用者注:小泉政権成立後)今も、改革の成果はほとんどみえない。その間に景気の冷え込みは深刻さを増し、最新の統計では2001年度のGDP(国内総生産)成長率はマイナス2.1%。格付け機関のムーディーズは最近、日本国債の格付けをボツワナと同じレベルに下げることを検討していると発表した。」
マイナス2.1%が実質経済成長率であれば(おそらくそうであろう)、デフレ率を勘案すると、名目でマイナス3.1%〜3.4%というとんでもない経済の落ち込みを経験したことになる。(3月の消費者物価指数は対前年比−1.3%)
(ちなみに暦年ベースの最近の値は実質で、1999年0.7%、2000年2.4%とプラス成長である)
現在の景気上向きや「景気底打ち」は、中華鍋のふちを滑り落ちてきたものが、底に近づき傾斜が緩くなったことで滑り落ちる勢いが鈍ることに似た現象である可能性が高い。
しかも、その中華鍋の最深の位置は行き着くまで見えないものである。
OECDも、IMFも、2002年の日本経済を、2001年よりも穏やかになるというかたちでのマイナス成長を予測している。マイナス0.8%からマイナス1.0%が予測数値である。
政府が、自分にとって都合の悪い経済データはできるだけ広まらないようにし、景気判断や景気予測を「政権維持」という目的に従属させるようなことをしていれば、日本経済は、さらに底の見えない不況へと突き進み、国民の生活もいっそう疲弊していくことになる。
既に5月23日である。3月で終わった2001年度のGDPデータを早く公開して欲しいものである。