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「あの人の“ご託宣”が効いた」―日経平均が年初来高値を更新し、売買高が13億株台、売買代金も1兆1101億円と、いずれも今年最高の水準に沸いた22日、兜町ではこんな声が聞かれた。「あの人」とは、英国人の著名な証券ストラテジスト、ピーター・タスカ氏。かつてバブル崩壊後の日本の苦境をいち早く予見し、著書がベストセラーにもなったことのあるタスカ氏が20日付の「日本市場概観」というタイトルのリポートで日本企業の「V字型回復」について触れ、これが“起爆剤”になった、というのである。
「政府の景気底入れ宣言なんかより、タスカの分析のほうがはるかに信頼できる」(外資系投信運用担当者)。こうした“タスカ信者”が外国人投資家を含め、株式市場では結構多い。昨年12月、丸紅など低位株の多くが外資系証券のカラ売り攻勢で信用リスク懸念が急速に高まったとき、市場ムードに抗して「逆張り買い」を唱えていたのもタスカ氏だった。
●効率経営に磨きかかる
さて、問題のリポートは、タスカ氏がコンサルタント・ストラテジストを務めるドレスナー・クラインオート・ワッサースタイン証券東京支店がまとめたもの。この中でタスカ氏は、5月18日現在、全体では「2.4%の増収で、94%の経常増益が予想されている」とし、バブル崩壊後の“循環的ビーク水準”であった2年前(2001年3月期)の「4.5%増収で40%の経常増益」と比べ、今回は「半分の増収率で2倍の増益率達成が見込まれるわけだ」と解説。国内上場企業の効率経営に磨きがかかったということでもある。
●「V字型回復にも自信」
しかも、タスカ氏は前期から会計基準が「従来よりもはるかに厳格になった」ため、今期の利益予想は「以前よりも保守的であることは間違いない」と太鼓判を押し、「鉱工業生産が夏場にかけて前年比ベースで大幅に増加する公算が大きいことに加え、前例のない生産能力の収縮および積極的な人員削減が予想される」ことで「製造業の今期利益のV字型回復に自信を深めている」とも公言した。
これが弱気ムードを断ち切るキッカケ材料を渇望していた株式市場関係者にとって、願ったりかなったりの“権威者”による強気論の表明であったことは確かだ。
●注目される好業績予想銘柄
ただ、このりポートで触れられているのは、景気・企業収益の「概観」のみ。どのような銘柄が注目できるかという点への言及はない。
そこで、これまで発表された上場銘柄の今期業績予想(経常利益ベース)で、事前のマーケット予測を上回っている有望銘柄を筆者なりに拾い上げてみた。いずれも比較的個人投資家好みで、今期経常利益予想が20%以上の増益を見込んでいる銘柄である。
住友精化<4008>、日本合成<4201>、住友ベークライト<4203>、日立化成<4217>東洋インキ<4634>、モリ工業<5464>、大同特殊鋼<5471>、富士電機<6504>、東芝テック<6588>、航空電子<6807>、ノーリツ鋼機<7744>。
なお、昨年の下落相場で弱気論を展開し、外資系証券の中ではしばしば話題になることの多かったドイツ証券は今年3月に強気転換したが、同社は5月22日、「2001年度実績と2002年度予想における各4半期ベースで、4半期連続増収見込み」で、なおかつ「過去5期において売上実績が期初予想を1.0%以上下回ったことのない銘柄」として、アイシン精機<7259>、オリンパス<7733>、ヤオコー<8279>、プロミス<8574>、住商リース<8592>、ダイヤモンドリース<8593>などを取り上げた。
(楠 英司)
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http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200205/16/20020516093519_80.shtml