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東証が毎週発表している投資主体別株式売買内容調べによると、海外年金など外国人投資家が4月15日の週から4週連続で買い越しを記録した。4週分の買い越し額は3200億円を超え、5月13日の週も、ほぼ買い越しが確実視されている。株式市場では、「海外投資家の買いに促される形で国内機関投資家も重い腰を上げようとしている」(大手証券)と需給環境が一層好転するとの見通しが聞かれる。ただ、海外勢の買い越し基調の継続は、ある危険な要素が含まれていることを見逃してはならない。
●後ろ向きのウエート修正
海外投資家が日本株への買いを増やしたのは、「米国株への警戒感が払しょくできない」(欧州系証券ストラテジスト)ことが最大の要因だ。個別企業ごとに業績の明暗が分かれ、企業業績で買っていける地合いにないほか、「過剰設備・過剰債務問題がほとんど解決していない」(銀行系証券)。また、6%台に急上昇した失業率が示すようにマクロ経済の不透明感も台頭している。
加えて、米国債発行額が法律上の上限を6月末で突破、米財務省が議会に対し上限の引き上げを求める異例の声明を発表したことから、同国の財政赤字への懸念も急浮上した。大半の米国機関投資家や米国株に投資していた欧州系の投資家がウエート下げに動いた。
この反動がストレートに出たのが日本株だ。おりしも政府が景気底入れを宣言、「構造改革や景気の先行きに不透明感はつきまとうものの、短期で買うにはほどよい市場」(先の欧州系)と着目され、大幅にアンダーウエートしていた日本株のポジションを「普通の状態のアンダーウエート、もしくはニュートラルまで戻した」(同)というのだ。この間、日本株手当てのために円が買われ、一時1ドル=125円台まで上伸したというのが真相だ。
●「期間限定」の割り切りを
こうした状態をある銀行系証券のエコノミストは「非常に危険なゲーム」と、強く警鐘を鳴らす。海外勢の日本株買い戻しに伴い円高が進行すれば「外需依存度の高い日本経済は回復の流れ自体が危うくなる」ためだ。まして海外勢の大半は、日本が景気回復の拠り所としてきた米国経済の行方に不透明感を強めた結果として日本株にシフトしてきたのだ。海外投資家の一部からも「米国株からの日本株へのシフトは、かなりの矛盾を抱えていることは承知している」(欧州系運用会社)と日本株買いが長期化しないことを示唆している。
今後海外勢の買い越しが続くにつれ、証券会社の営業部門からは「良好な需給環境が継続し、買い場だ」とのご託宣が発せられ続けるだろう。ただ、こうした動きに追随するのは、海外投資家自身が矛盾を感じ始めている以上、短期限定と割り切った方が良さそうだ。
(相場 英雄)
・不気味な海外投資家の連続売り越し〜日本株、調整局面か
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200204/17/20020417145514_22.shtml