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“高金利”が米国経済の一つの苦境要因 《6%超の実質金利 日本の実質金利は2.5%超》 ↓不調で再挑戦 投稿者 あっしら 日時 2002 年 5 月 21 日 23:07:02:


米国経済の実態に対する見方は、強弱が交錯している。
日本では政府を中心に願望の現れだと思われるが、「米国経済回復説」が主流のようである。

株式市場の「ITバブル崩壊」後9・11テロを挟んで、FRBは、昨年1年間だけで11回も利下げを繰り返し、公定歩合は1.25%、FF金利は1.75%となった。

このような名目金利の大幅な低下から、米国は40年ぶりの低金利時代を迎えたと言われているが、実際は、タイトルにしたように米国経済は高金利のまっただ中にある。

政府債務や実物経済の金利負担の目安となる10年物米国債の利回りは、公定歩合の低下につれそれなりに下落したが、ほぼ5%の水準である。
一方、実質金利を規定する消費者物価指数は、昨年末で−1.3%である。第1四半期でやや上昇したというデータが出ているので、“デフレ率”を1%と考えると、実質長期金利は6%ということになる。

米国経済は、公定歩合に見られる超低金利状態、また、長期金利に見られる名目的な金利低下という動きとは裏腹に、実質金利は上昇しているのである。

2000年のインフレ率は3.4%である。このときに長期金利が7%だとしても、実質金利は3.6%である。実質の金利は、現在の水準よりも2.4%も低いのである。

(日本は、デフレ率が1%で10年物国債の利回りが1.5%程度である。このことから、実質金利は2.5%と言える)


第1四半期の米国企業業績不振や米国経済のふらつきの要因の一つとして、“デフレ状況”がもたらしている“高金利”をきちんと認識しなければならない。
「商品価格の低下圧力が強いために実質高金利になってしまった」のだが、今後は、「高金利であることを認識して、金利負担を商品価格に転嫁しようとしてもできない」という状況に陥ると予測できる。

ブッシュ政権やFRBが、デフレをベースにしたマクロ経済指標(値が嵩上げされる)を発表していながら、デフレであることを“意識させない”でいることで米国経済の実態が見えなくなっているのである。
デレフや高金利であることをきちんと認識していないことの反映が、第1四半期企業業績の思わぬ不振であり、米国経済先行きに対する認識のバラツキである。

経常収支の大幅赤字・財政支出の赤字転落と政府債務の増大・貯蓄率0%というとんでもない状況にある米国経済は、外国からのドル還流がなければ維持さえできない構造になっている。
そうでありながら、政府債務上限問題で現出したデフォルトの危機のみならず様々な要因で、ドルの還流が抑制される圧力が加わっている。
国債売却が国債買入を上回るエネルギーを持っていれば、国債価格は下落し、利回りが上昇することになる。これは、長期金利全般の上昇につながっていく。

(実質高金利であればドル高に動くはずだが、ドル安傾向になっているのは、このような構造の瓦解に対する不安の現れであろう)


高額所得者減税や法人減税を行う一方で、株価低迷・失業者増加・健康保険料など負担増大・ガソリン価格上昇で中低所得者の可処分所得が減少し、さらには、均衡が義務づけられている州財政が45州で赤字化(連邦政府の補填がそれなりにあるとしても歳出の削減につながる)という状況であれば、デフレが解消される可能性は低い。


米国経済を頼りにした日本経済の回復ははかない夢である。
日本政府及び日銀は、米国経済が悪化することを前提にして、日本経済の舵取りを行わなければならないのである。


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