現在地 HOME > 掲示板 ★阿修羅♪ |
|
相場シナリオは短期、中期、長期とスパンを分けて観測されるのが普通だ。このスパンをさらに長循環にとり、歴央認識に基づく相場観測、いわゆるパラダイム・シフト(規範の遷移)に視点を置くのも昨今の流行である。このところマーケットを揺さぶっているムーディーズの日本国債の格下げ検討も、この部類に属する。ここで問われているのは、かつての経済大国の日本がまだ成長国なのか成熟国になり下がったのか、国力は再活性化するか衰退一方なのかである。膨大な対外純資産や個人金融資産を誇る日本が、まさか国債の利払いが滞ったりデフォルト(債務不履行)することは想定しづらい。
しかし、政府債務の積み上がり、一向に進まない不良債権処理、出口の見えないデフレ、政治腐敗などから格下げもやむなしと自虐的になり勝ちになる。これに追い打ちをかけるのが少子高齢化の進展という冷厳たる事実。このポイントから、国内市場は縮小するとして海外市場に新天地を求める経営の歴央的転換をはかる内需系企業も出てきている。となれば株価的には、活躍舞台をグローバルに展開する高輸出比率企業が、大きく浮上するパラダイム・シフトへの予想もなり得よう。
●米国との市場規模格差は拡大一途
日本の少子高齢化は、先進国でも例のないスピードで進展している。女性が子供を産む合計特殊出生率が1.34(1999年)まで低下しているためで、現在1億3000万人を数える人口は、2007年をピークに減少に転じると見積もられ、2025年には4人に1人が高齢者になる計算だ。この少子高齢化は社会、経済に大きなヒズミをもたらす。年金危機、介護保険危機、医療保険危機などがこの代表で、老後に不安を抱える高齢者は保守的な消費態度を続け、ますますデフレ不況に拍車をかけることになる。
これを消費市場相場として概観しても、日本は縮小が想定されることになる。例えば日本市場と米国市場を比較すると、人口比で市場規模は1対3だが、若年層ではさらに格差が広がり50年後には1対6まで広がるとする極端な見方も出てきている。このためゲーム、アニメ、音楽など若年層を対象とする本来は内需系のエンターテインメント産業のなかにも10年後をにらみ、とりあえず米国市場へ布石を打つ企業も出ている。国内市場が縮小するなら、企業存続のため内外無差別に海外市場に打って出ざるを得ず、これは電機、自動車、薬品などがたどったのと同じ道である。
●海外売上高比率上位銘柄を順張り
さて、こうしたパラダイム・シフトを前提にすると、株価的に好展開が期待できる銘柄が浮上する。世界を舞台に活躍する高輸出比率企業である。ここで参考になるのが大手経研がランキングした以下の海外売上高上位銘柄である。
トップのヤマハ発動機<7272>〜海外売上高比率79%を筆頭に、本田技<7267>〜73%、キヤノン<7751>〜71%、ブラザー工業<6448>〜70%、ミツミ<6767>〜69%、オリンパス<7733>〜68%、日産自動車<7201>〜62%、富士重工<7270>〜48%、ショーワ<7274>〜47%、東芝テック<6588>〜45%―が上位10傑に顔を並べる。すでに動意づいている銘柄も多いが、順張り対応で中期的な成果が狙えそうだ。
(相馬 太郎)