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【ロンドン福本容子】
最近の円・ユーロ高ドル安に対して、海外の外為市場関係者に「強いドル終えん論」が台頭している。円の上限(ドルの下限)を探る動きが続きそうで、円安傾向で景気の落ち込みを回避している格好の日本の金融当局には悩ましい状況だ。
「強いドルの時代は終った」。ロンドンに拠点を置くインディペンデント・ストラテジーのエコノミスト、ボブ・マッキー氏は断言する。BNPパリバなど欧州の金融機関も相次いで、ドル相場の見通しを引き下げ、「欧州のファンドの中に資金を米市場から他市場に移す動き」(ABNアムロ)があるという。
ドルへの信任が揺らいでいる最大の理由は、膨張する米経常赤字。これまでは成長期待から、海外資金が米国株や米国債券に流入して赤字分を埋めてきたが、海外資金をひき付けてきた投資の魅力が急速に薄れ、「持続困難」との見方が強まっている。「日欧に比べ米国の株、社債は割高」(マッキー氏)との評価が広がり、エンロンなどの粉飾もあって、投資に二の足を踏ませている。
景気の強弱では米国が日本よりも強い印象だが、「国債格下げ見通しなど日本の悪材料は織り込み済みだが、米経済は最近、悪材料が増えている」(コメルツバンクのカマル・シャルマ氏)というのが、市場関係者の共通した見方のようだ。