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英国系のHSBC証券が、02年3月期に大手銀行が税効果会計に基づいて自己資本に算入する「繰り延べ税金資産」を推計したところ、約8.7兆円にのぼった。この結果、大手銀行の自己資本全体に占める繰り延べ税金資産の割合は、50%を上回る見込みだ。
税効果会計とは、企業が払いすぎた税金で、将来戻ってくると見込んだ額を繰り延べ税金資産として貸借対照表の資産の部に計上する手法。同額を自己資本に組み入れる。上場企業には00年3月期から適用が義務づけられた。
銀行が不良債権を有税処理した場合、貸出先が破綻(はたん)すれば引当金は損金と認定されて税金が戻る。このため各行は、不良債権処理に伴う税金を繰り延べ税金資産に計上している。
HSBCの試算対象は4大銀行グループに大和銀ホールディングス、三井トラスト、住友信託、みずほアセットを加えた大手8グループ。01年9月時点では繰り延べ税金資産は約7.7兆円。自己資本の額は19.4兆円で、税効果会計による資本が自己資本に占める割合は約39%だった。
しかし、各行の決算見通しなどからHSBCが今3月期の数値を試算したところ、自己資本が17.3兆円に目減りした一方、繰り延べ税金資産は8.7兆円に増加、税効果会計で算入された資本が50%を上回ると推計されている。
繰り延べ税金資産が増加したのは「金融庁の特別検査などをきっかけに不良債権処理が上積みされたために、有税の引当金が増加した」(HSBCの野崎浩成アナリスト)ことが反映した。
金融庁の金融検査マニュアルでは、銀行が税効果会計で算入する資本の上限を、今後5年間の所得への課税見込み額の合計と定めている。銀行が本業部分での収益性を改善して、所得を順調に回復できなければ、算入できる資本額が限定され、自己資本比率の低下につながる恐れが指摘されている。(15:23)