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そもそも銀行とはお金を預ける所だったはず。でも最近の超低金利を銀行から言い換えれば、もうお金は預けないでくれということ。一方、お金を貸す方で言えば、貸し渋り」が加速する?
皆さんよくご存知の通り、今、一部の日本の銀行で普通預金に対して付けられている金利は、0.02%。1,000万円を1年間預けたとしてもたったの2千円、1億円預けても2万円の金利水準となっている。
この状況を銀行側から言い換えれば、銀行が、われわれ個人あるいは企業から、お金を預けてもらわなくてもよい、もっと言えば預けて欲しくない、という意思表示をしている。これは、現在の日本経済の景気、日本の金融市場の環境を表しているといえる。今、日本にはお金が余っている(これは、1個人や1企業レベルではなく、日本全体でみての話)。銀行は以前のように預金を集めなくても、それよりも低いコストでいくらでも金融市場からお金を集めることができるのである。そればかりか、すでに必要以上持っているので集めなくてもよいくらいかもしれない。
お金を集めるという側面から今の銀行を見ると以上のようなことが言える。一方、お金を貸すという側面から見ると、どういうことが起こっているのか。それは、一時期マスコミで取り沙汰された、「貸し渋り」に代表される、銀行が企業にお金を貸さなくなっているという動きである。
バブル経済の原因となった銀行の貸出競争の反対の動きが、今の銀行では行われている。当然、業績の悪化が深刻化し回復の見込みがなくなった企業、つまり、倒産の可能性が高くなった企業に対して、銀行は貸出金の返済を求める。しかし、現在では、銀行は、倒産はしないまでも業績が悪化傾向にある企業に対しての新たな貸出について非常に厳しい審査を行うのである。
この背景の1つにはバブル経済の反省があるだろう。銀行が、土地神話を頼りに過剰な貸出を行ったことが、現在の莫大な不良債権発生そしてその処理の最大の要因になったのは異論のないところだろう。当然のことながら、銀行は新たな不良債権の発生に神経を使っている。
さらに、最近ではもう一歩踏み込んだ姿勢がみられる。5月2日、日経新聞に、大手銀が貸出に企業の倒産リスクを反映することにより、企業向け貸出の改善に乗り出した、といった内容の記事が掲載された。UFJ銀行は取引先を10段階に評価し、その評価を基に貸出交渉をし、三井住友銀行は約7割の取引先が金利引上の対象となる貸出制度を導入するというものである。いずれの銀行も、目下の日本の銀行の最大の経営課題である、収益力の強化及び資産の圧縮を狙った施策であろう。今後、他の銀行も追随する動きが加速することは想像に難くないといえるだろう。
こうした銀行との貸出交渉の対象となる企業のなかには、低金利の預金取引かつ高金利の融資取引によるコストアップを少しでも抑えるため、預金と借入金を圧縮する企業が多くなるのではないだろうか。
「貸し渋り」に走る銀行の経営姿勢に対する批判は当然あるだろう。しかしながら、企業が現在置かれた立場から冷静に判断すれば、取るべき道は、資金の効率的配分→徹底したコストダウンによる資金繰り→業績回復→銀行の評価アップ→新規資金の調達の実現、しかないのかもしれない。
湧尾造郎
提供:株式会社FP総研