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不良債権の早期処理が叫ばれるなか、業績不振や過剰債務企業の株価が急落の末に経営破綻(はたん)に追い込まれる一方で、株価が10−20円台と“超低空飛行”を続ける企業もある。ゼネコン、流通を中心に、金融支援を受けるなど経営再建と基盤強化に全力を挙げているのに、市場の反応は冷たく、株価だけを見ると「退場宣告」。底バイの株価企業は倒産予備軍なのか、それとも再浮上への打開策はあるのか。
東証一部上場企業のうち、「倒産株価」とされる50円の額面を割り込んでいるのは17日現在で24社にのぼる。
このうち30円以下の超低位株は、フジタ、熊谷組、長谷工コーポレーション、ニツセキハウス、テザック、山水電気の6社(監理・整理ポストを除く)を数える。
業績不振や過剰債務の事情を抱える“30円割れ”銘柄の大半を占めるのが、ゼネコン業界。
長谷工は17日の終値が21円。20円台後半から30円の幅を推移した同社は4月25日、主力3銀行から1500億円に上る債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ)による追加金融支援を正式発表した。
だが、株価は「経営環境の厳しさが再認識された」(準大手証券)と発表翌日から下落、その後も横バイを続ける。
長谷工は基幹のマンション事業の収益力強化や、財務体質の健全化などを柱とした中期3カ年計画を打ち出しており、「今後のマンション市況の回復状況が復活のカギ」(建設担当アナリスト)との見方が出ている。
フジタは24円(17日終値)。昨年末に13円まで売り込まれたが、不採算の不動産事業を分離、建設部門が三井、住友両建設の経営統合に合流すると報じられた2月15日には48円のストップ高まで急騰した。
だが、買い気配は続かず、20円台前半へジリ安基調。15日には3000億円の金融支援が報じられたものの、反応は一時的にとどまっている。
順調に統合作業が進めば、経営再建が軌道に乗りそうだが、「収益回復のシナリオが描けなければ、“負け組連合”になりかねない」(同)。
昨年3月、4300億円の債権放棄を受けた熊谷組も22円(17日終値)と低迷を続ける。
建設業界以外では、わずか11円(同)なのが音響メーカーの名門、山水電気だ。平成12年3月に香港の投資会社グランデグループ入りし、資金援助を受けている。
13年12月期連結決算では、同グループの債務免除や音響製品の国内特化などリストラ策で債務超過を解消、山水は再建が順調に進んでいることを強調する。
だが、グランデ傘下の音響メーカーはナカミチと赤井電機が破綻しており、不透明感は残る。
これら超低位銘柄の株価は、好材料が出ると一時的には上昇するが、長続きしないという点が共通している。
売買の中心は、手数料の割安なインターネット取引経由で、1日のうちに売買を繰り返して利ザヤを稼ぐデイトレーダーや証券会社のディーラーによる自己売買など短期資金となっている。
株価低迷につれ、定期的に自社株を購入する従業員持ち株会の保有比率が相対的に高まるという事態も起きている。
むろん「低株価=経営危機」ではないが、帝国データバンクの調査だと、12年度に倒産した上場企業のうち、100円割れの企業が過半数を占める。倒産前日の株価平均は1年前から41.4%下落している。
今年に入っても、1月13日に民事再生法の適用を申請した殖産住宅相互の破綻前日の株価は30円だった。3月3日に会社更生法を申請した佐藤工業の場合、前営業日の終値こそ41円だったが、昨年末から20円台に低迷を続けていた。
株価が急落した企業側は、「風評だ」「売られ過ぎ」と反発するが、株価が信用リスクの「警戒シグナル」の一つなのも否定できない。
「ゴーン社長の日産のように、収益の急回復と債務の早期削減を明確な形で投資家に示さないと、株価も本格的上昇につながらない」(外資系証券ストラテジスト)
市場の信頼を取り戻して、劇的復活に期待する声は多いのだが。