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「消費税率を時限的に2%に」 連合要求へ [朝日新聞]《批判書き込み付き》 投稿者 あっしら 日時 2002 年 5 月 17 日 16:17:27:

 連合は16日、中央執行委員会を開き、デフレ経済から脱却するための緊急避難的な税制改正として、消費税率を時限的に2%に引き下げるよう政府に求めることを決めた。引き下げで消費の回復・拡大を図り、2年後から毎年1%ずつ引き上げ、5年で5%に戻すことを提案する。(23:33)

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★ 高額所得者増税など他の税を含む総体的な税制変更の一部として、タイトル通りに、「消費税を2%」にするのは、デフレ経済からの脱却に資する政策だが、「2年後から毎年1%ずつ引き上げ、5年で5%に戻すことを提案する」という内容では、デフレ対策にならない。


● 減税に見合う赤字国債を発行しない限り総需要は変わらない

消費税を一時的に減税したからと言って、総需要そのものが増大するわけではなく、需要の構造が変わるだけである。消費税は民間から政府への所得移転であり、政府は、それを使わないわけではなく消費している。

もちろん、政府部門が地価対策や土建業対策として行う公共事業投資よりも、消費税減税を通じて個人消費を拡大させるほうが「デフレ不況」対策に資する。
この意味ならびに幅広い国民の生活安定という意味で、消費税減税は「低中所得者減税」と同じ効果を持つものとして評価できる。

しかし、消費税減税に見合う赤字国債を純増させれば、総需要も増えるが、国債問題がさらに深刻化する。


● 景気は、“量”ではなく“変動”の問題

連合提案の最大の問題は、「2年後から毎年1%ずつ引き上げ、5年で5%に戻すこと」である。
景況というのは、絶対量の問題ではなく、変動傾向の問題である。
日本は国別で見れば世界第2位のGDP(絶対量)を誇っている。しかし、10年以上にわたって不況にさいなまれている。不況というのは、時間を経るごとに、GDPが減少していったり、期待するほど増加していかないというものである。

消費税の減税は、一時的には消費拡大をもたらすだろう。
しかし、2年後から毎年1%ずつ消費税率が上がっていくことが予めわかっていれば、消費行動はそれに規定されることになる。

食糧品や外食など非耐久消費財は、買いだめもほとんど効かないので影響ないが、GDPで大きなウエイトを占める耐久消費財の需要は、消費税率が低い段階で高まり、消費税率高まるにつれ減少していくことになる。
消費者にとっては、税金分であろうが商品代分であろうが支払額ということでは変わらないので、毎年上がることがわかっていれば、安いうちに購入しようとし、1%でも高くなると需要が減ることになる。(高価な耐久消費財ほどその傾向が強まる)

2%のときに需要が最大で、3%になると下がり、4%になるともっと下がるという経過をたどる。これは、GDP的に言えば、個人消費部門が徐々にマイナス成長になっていくということを意味する。

2年間の消費税2%で個人消費は増大し景気も上向く可能性があるが、その増大は3年後以降の先取りという側面を強く持っているので、3年目以降景気が下降する可能性が高い。

このような意味で、連合の提案は、将来不況になることを明示したうえでの短期限定の景気対策と言える。


● 「家電リサイクル法」が生きた実例

消費税の段階的な引き上げが及ぼす経済効果は、「リサイクル法」施行が駆け込み需要を生み、その反動で家電(冷蔵庫・洗濯機・TV)の販売が落ち込んだことでわかることである。
家電製品に限定されない消費税となれば、あまねく商品に「リサイクル法」施行と同じ現象が起きることになる。


● 将来への不安が解消されないなかで消費は予測通りに伸びるか

消費税を3%したとしても、それが時限的なもので先行きに明るさが見えない経済状況であれば、減税分がそれなりに消費拡大につながることは確かだがどの程度の割合で消費にまわるかという問題を指摘できる。

消費税の減税分が貯蓄に回る割合もそれほど少なくないと推測できる。

先行きの明るさや老後不安をすぐに取り除くことはできないが、「低中所得者」に対する恒久的な租税及び社会保険料負担軽減を行なわければ、消費の拡大も「デフレ不況」からの脱却もできない。


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